ディーン・フジオカに続く? “逆輸入俳優”の新星に中国版『プデュ』出身者あり!

“逆輸入俳優”の新星・SANTA

 近年、動画配信サービスの普及で世界中の視聴者が日本の作品に触れる機会が増え、それを足がかりとして日本人俳優が海外に活動の場を広げている。例としては、ハリウッド映画『マン・フロム・トロント』やHuluオリジナル『神の雫/Drops of God』など海外作品への出演が相次ぐ山下智久、2023年に『聖闘士星矢 The Beginning』でハリウッド映画初主演を果たした新田真剣佑、中国映画『破陣子』(公開時期は未定)で主演を務める綾野剛が挙げられるだろう。

『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』©TBS ©朱野帰子/講談社

 その逆のパターンも存在する。先に海外でキャリアを積んでから、日本に活動の拠点を移して活動する、いわば“逆輸入俳優”のことだ。香港でスカウトされ、台湾でもモデルや俳優として活躍した後、NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年度後期)でブレイクを果たしたディーン・フジオカがその礎を築いた。世の女性を虜にする一方、ジャンルに囚われない多彩な演技でイメージを更新し続けるディーン。現在放送中の『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)では、プライドの高いエリート官僚パパを絶妙なコミカルさで好演している。

 そんなディーンが主演を務めた『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系)にメインキャストとして名を連ねた葉山ヒロも逆輸入俳優の一人。台湾旅行中にスカウトされ、現地でモデルや俳優として活動していたところを、ジャッキー・チェンが所属する香港の事務所に引き抜かれた異例の経歴の持ち主である。演技力とアクションスキルを兼ね備え、映画『るろうに剣心』シリーズのアクション監督として知られる谷垣健治がメガホンを取った『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』にも出演を果たした。

 もう一人、逆輸入俳優として多くの人が思い浮かべるのは大谷亮平だろう。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でのハイスペック男子役で強烈なインパクトを残し、実写版『ゴールデンカムイ』では筋骨隆々な肉体で元マタギの兵士・谷垣源次郎を演じて、その再現度の高さが話題になった大谷。彼もまた30代半ば頃まで韓国で俳優兼モデルとして活躍しており、境遇の近さから一時期は“第2のディーン・フジオカ”と称されていた。

 そして、これからブレイクが期待される逆輸入俳優として取り上げたい人物がいる。中国を拠点にアーティストとして活動し、4月7日からショートドラマアプリ「BUMP」で独占配信されている映画『Forgiveness-ワイズマンの孤独-』で主演を務めたSANTAだ。

 宇野賛多、あるいは賛多の名で認識している人もいるかもしれない。彼は、2021年に韓国の人気オーディション番組『PRODUCE 101』(通称“プデュ”)の中国版として有名な『創造営』に出演。参加者90名の中から最終的に2位で通過し、期間限定のグローバルアイドルグループ「INTO1」のメンバーとしてデビューを果たした。審査員を圧倒したのは、その卓越したダンススキルだ。

 幼少の頃からキッズダンサーとして活躍し、17歳の時、ストリートダンスの世界大会「STREET DANCE KEMP EUROPE」で史上最年少のチャンピオンに輝いたSANTA。アイドルになる前からバックダンサーやパフォーマーとして経験を積んでおり、デビューは必然だったと言っても過言ではない。

『Forgiveness-ワイズマンの孤独-』

 グループの活動終了後はソロアーティストとして中国で活動を開始。ダンスパフォーマンスはもちろん、ロックからバラードまで歌いこなす豊かな表現力で人々を魅了し、2023年にはテンセント新人歌手賞を受賞した。2024年5月に発表した1stアルバム「Prologue」の収録曲が中国DSPで驚異の1,800万回再生を記録し、2025年4月には自身初のタイアップ曲となるアニメ『魔神創造伝ワタル』(テレビ東京系)の主題歌「創」をリリースするなど、その勢いはとどまるところを知らない。中国最大のソーシャルメディア「微博(Weibo)」 のフォロワーは実に400万人を超えており、その他のSNSのコメント欄からも海外人気の高さが伺える。

 そんなSANTAが初主演を務める『Forgiveness-ワイズマンの孤独-』は、新進気鋭の映像監督・浦翔也がメガホンを取る人間ドラマ。数々の罪を暴いてきた主人公が“赦し”を経て成長していく姿を描きながら、たった一度の失敗で人生が終わりかねない不寛容な現代社会に疑問を投げかける秀作だ。タイでもロケを敢行し、スケール感のある映像に仕上がっている。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる