前田敦子、国民的トップアイドルから“実力派女優”に 『人事の人見』で示す確かな積み上げ

そんな中でも、全編ウズベキスタンで撮影された映画『旅のおわり世界のはじまり』は、女優としての新境地を切り拓いた作品だと筆者は考える。テレビリポーターで歌手を夢見る葉子として、ウズベキスタンの生き物や郷土料理、気になる乗り物をレポートしていくのだが、カメラが止まると一転、感情が一気になくなり虚無感を滲ませる。自由時間には街に繰り出してみる好奇心はあるものの、外国語で話しかけられると怖くなって逃げだしてしまう。初めて海外に行った時に感じた恐ろしさを再び体験した気持ちになると同時に、自分の居場所を探し続ける葉子の姿には共感もできる。ウズベキスタンの景色と人間の描写の交錯に加えて、前田が見せる神妙な面持ちが映画の世界に引き込んでくれるのだ。

その他にも数々の作品への出演を経て、現在出演中の『人事の人見』では人事部労務担当の会社員・真野直己を演じている前田。仕事熱心で正論を大きな声で言えるタイプだ。社会人経験がないのにもかかわらず、常務の肝入りで入社してきた人見(松田元太)に対しては怒ってばかり。パワハラの被害者で部署を移った経験があるため、悩みを抱える社員には寄り添う態度を見せるが、思わぬ行動をとる人見に圧倒される場面もある。目を光らせつつも、斬新な角度でアプローチしていく人見から良い影響も受けることになりそうだ。

前田敦子は規模や話題性に関係なく、主演でも助演でも作品への愛を持って演技をしているのがとても良く伝わってくる女優の一人だ。『人事の人見』では松田を“先輩”として引っ張り、力強く支えてくれるだろう。この春は、その凸凹コンビの掛け合いを毎週の楽しみにしたいと思っている。
古い熱血体質の残る大企業を舞台にした人間ドラマ。おバカでピュアすぎる主人公・人見廉と、会社を変えたいと願いながら日々奮闘する真野直己が、個性豊かな人事部の面々と共に会社の中で巻き起こる社員のさまざまな問題と向き合いながら、「現代人の悩み」に立ち向かっていく。
■放送情報
『人事の人見』
フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:松田元太(Travis Japan)、前田敦子、桜井日奈子、新納慎也、ヘイテツ、松本まりか、小野武彦、鈴木保奈美、小日向文世ほか
脚本:冨坂友
音楽:カワイヒデヒロ
主題歌:宮本浩次「Today -胸いっぱいの愛を-」(ユニバーサルシグマ)
演出:河野圭太、山内大典
編成企画:草ヶ谷大輔
企画・プロデュース:後藤博幸
プロデュース:橋本芙美、高橋眞智子
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
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