『ヒプステシネマ』Cinema Edit版は初心者にもオススメ 細部に息づくキャラらしさを堪能

もう一つ、初心者にとってありがたかったのは、約2時間の作品として物語がしっかり完結している点だ。ネタバレへの配慮の観点で深くは触れないが、一本のストーリーラインがシンプルに整理されていて非常にわかりやすく、初心者が世界観を把握し、キャラクターたちの関係性を掴むうえでも、これほど入りやすい形はなかなかないと感じた。
演出面にも多彩な工夫が凝らされており、原作で描かれてきた世界観が、舞台というリアルな空間の中に違和感なく落とし込まれていたのも印象的だった。まさに「これが2.5次元か」と驚かされる瞬間がいくつもあり、映像と実演の融合が、ごく自然に成立している。

とりわけ印象的だったのが、舞台背面の大型モニターに映し出される3Dモデルのキャラクターたちが、そのまま現実の舞台に“登場”するような導入演出だ。各キャラクターがモニターに映し出された直後に、役者が同じ立ち位置に現れるシーンでは、まさに、キャラクターたちがスクリーンの向こうから飛び出してきたような感覚だった。現実の役者と3Dモデルが横並びに重なる、乱数の歌唱シーンにも驚かされた。

そして最後に、筆者が強く「舞台ならではの楽しさ」を感じたのが、カーテンコールの場面だった。キャストたちは最後までキャラクターとして舞台に立ち、それぞれの個性を反映させた所作でお辞儀をする。細部にまで息づくキャラらしさに触れられるこの瞬間は、舞台だからこそ味わえるものだろう。

ヒプステは様々な展開があり、“入り口”は人によってさまざまだ。けれど、キャラクターの輪郭や関係性、空気感をもっともダイレクトに感じ取れるのは、もしかするとこの-Cinema Edit-版なのかもしれない。前述した要素に加え、映画館ということで価格的にも心理的にもハードルは低く、初めてヒプステに触れる人にとっても、すでにキャラクターをある程度知っている人にとっても、それぞれの視点で楽しめる余白があるからだ。
実際、筆者自身も、3面ライブスクリーンが生み出す臨場感によって、“なんとなく知っていたヒプステ”の印象を大きく塗り替えられた。「ヒプステが気になってはいたけれど、何から入ればいいのかわからない」という方にも、自信を持っておすすめできる一本だ。
参照
※ https://www.smt-cinema.com/3livescreen/index.html
■公開情報
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Grateful Cypher-【Cinema Edit】
原作:EVIL LINE RECORDS
出演:石川凌雅、松岡拳紀介、高野渉聖、植原卓也、YUKI、益永拓弥、三井淳平、今井俊斗、木津谷泰勇、小波津亜廉、安藤夢叶、中下雄貴、北出流星、飯田寅義、喜史川大私、中西智也、酒寄楓太、中塚皓平、SHIN、手島聖貴、奥村等士、Jun、蒼井嵐樹ほか
監督:植木豪
脚本:亀田真二郎
配給:松竹ODS事業室
©『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会
Grateful Cypher-【Cinema Edit】公式サイト:https://hypnosismic-stage-cinemaedit.jp/6/
Cinema Edit-シリーズトップ公式サイト:https://hypnosismic-stage-cinemaedit.jp/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/hm_rts_ce





















