阿部寛はなぜ日曜劇場にハマる? 『キャスター』でも発揮される“ハイカロリー”な芝居

阿部寛はなぜ日曜劇場にハマる?

 理想の上司で上位にランクインする阿部は努力の人である。モデル出身で、若手時代に仕事がなくて苦労した経験もある。そのせいだろうか。一つひとつの作品に真剣に取り組んでいる。3月29日に行われた4月期ドラマの合同会見。台詞をどうやって覚えているか質問されて、阿部はこう答えた。

「必死に車の中で叫んでます。高速道に乗っているときは誰も聞いてないんで、できるだけ大きな声でやって、それを毎日反復している感じです」

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 衝撃を受けた。あの阿部寛が、首都高の車の中で叫んでいるのである。同時にものすごく感動した。キャリア40年近いベテランが、今なおデビューしたての俳優のように、自身の役に全身全霊、体当たりでぶつかっていることに。

 一流はいつだって必死だ。あらがっている。生き馬の目を抜くような芸能界で、そうじゃなければ生き残っていけない。いつだって後方からいきのいい新人が登場し、追い越していく。常に己を磨き、高めること。ホームページに凝る前に、俳優としてやらなければならないことがある。そう筆者は理解した。

『キャスター』©TBS

 映像で、舞台で生きてきた阿部は、何が起こるかわからない本番の怖さを熟知している。だから一つ一つの仕事に全力になる。ドラマはチームで作り上げるものだから、ともに戦ってくれるスタッフ・キャストを大事にするし、笑顔でいてほしいから、そのために差し入れだってするだろう。全ては作品のため。その根底に自身が俳優としていられることへの感謝がある。

 ここまで書いて、自分が阿部寛を好きだったことに気づいた。なにげなく観ているドラマを通して喜怒哀楽を共有し、明日もどうにか頑張ってみようと前を向くためのエネルギーを受け取っていたことにも。阿部が今度演じるのは不正を告発するキャスターだ。テレビの中から彼は呼びかけるだろう。次は君たちが主役だと。

『キャスター』の画像

日曜劇場『キャスター』

テレビ局の報道番組を舞台に闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく社会派エンターテインメント。圧倒的な存在感で周囲を巻き込んでいく型破りで破天荒な主人公・進藤壮一が、視聴率低迷にあえぐ報道番組『ニュースゲート』を変えていく。

■放送情報
日曜劇場『キャスター』
TBS系にて、4月13日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑、月城かなと、木村達成、キム・ムジュン、佐々木舞香、ヒコロヒー、山口馬木也、黒沢あすか、堀越麗禾、馬場律樹、北大路欣也、谷田歩、内村遥、加藤晴彦、加治将樹、玉置玲央、菊池亜希子、宮澤エマ、岡部たかし、音尾琢真、高橋英樹、緋田康人、原田夏希、味方良介、鈴木貴之、植田辰哉
脚本:槌谷健、及川真実、李正美、谷碧仁、守口悠介、北浦勝大
音楽:木村秀彬
プロデュース:伊與田英徳、関川友理、佐久間晃嗣
演出:加藤亜季子、金井紘
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/caster_tbs/
公式X(旧Twitter):@caster_tbs
公式Instagram:caster_tbs
公式TikTok:@caster_tbs

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