『あんぱん』“ヤムおんちゃん”阿部サダヲが朝田家に笑顔を取り戻す 『あさイチ』でも話題に

『あんぱん』ヤムおんちゃんが朝田家を笑顔に

 4月4日は、あんぱんの日。そんな運命的な日に、朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)の第1週が幕を閉じた。制作統括の倉崎憲がSNSに「第5回、どうしても観ていただきたいです。全ての人に届けたいです。いろんな想いを込めさせていただきました」と綴っているように、この第5回では本作の根幹とも言えるメッセージが詰まっている(※)。

 それは結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ったことで元気をなくした朝田家が、“ヤムおんちゃん”こと草吉(阿部サダヲ)の作った焼きたてのあんぱんで笑顔を取り戻していくシーン。のぶ(永瀬ゆずな)だけでなく、息子を亡くし何も食べず、眠ることもできずに憔悴しきっていた“くらばあ”ことくら(浅田美代子)が笑顔を取り戻していく姿は特に印象的だ。

 ホカホカのあんぱんに生きる力をもらう様子は、第1話冒頭で絵本『あんぱんまん』を出版する直前の嵩(北村匠海)が言っていた、決してひっくり返らない正義――おなかをすかせて困っている人がいたら一切れのパンを届けてあげることに通じている。それはつまり『アンパンマン』のメッセージ性でもあり、朝ドラとしての嵩の原体験(後に壮絶な戦争体験が待っているものの)と言える場面となっている。

 朝田家にホカホカのあんぱんを届けた草吉は、傷ついた子供たちに寄り添う、優しい心を持った人物。けれど、大人には厳しく、お金にがめつい風来坊のパン職人だ。『あんぱん』には、やなせたかしが書いた詩やエッセイの中の言葉がセリフに散りばめられており、第1週タイトルの「人間なんてさみしいね」は、やなせの詩集『人間なんてさびしいね』から付けられている。幼くして共に父を亡くした嵩(木村優来)とのぶ。草吉が嵩に言った「たった1人で生まれてたった1人で死んでいく。人間ってそういうもんだ。人間なんておかしいな」という言葉は、やなせの詩をセリフとしてアレンジしたものであり、つまりは草吉が嵩に深い影響を与えていく人物だということが分かる。

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