『晩餐ブルース』はオブラートのようにほろ苦い人生を和らげる 食卓を通して描かれた再生

優太がはじめて耕助の手料理を口にしたときの感想は「うまい」ではなく、「あったか」だった。心に沁みる料理はうまいまずいを超越して、あったかいのだ。
若者たちの再生の物語を紡いだこのドラマは、食卓がその小道具として機能していた。“晩活(=晩餐活動)”と名づけた旧友との交流を通して、優太はゆっくりと立ち直っていく。

台詞は始終、思いやりに満ちていたが、ときにはむき出しの台詞も転がっている。ところがそのようなシーンにおいても、切迫感に乏しい。たとえば、復職した先輩の置かれた状況を伝えるこんな台詞――。
「前通りのポジションに戻るの難しいっぽい」
「休んでいいって言うんなら環境整えてよって話だよな。マジで」
字面だけ追えば辛さがにじみ出てくるが、そのシーンは優太から離れたテーブルで食事をとるスタッフに語らせる体をとっており、雑踏のざわめきのようにおぼろげだ。その先の希望を描くにしても、そこにいたる過程を直裁に表現すれば当事者は目を背けたくなるかもしれない。このドラマに引き込まれた最大の理由は、細心の注意を払い、隅々までしなやかに仕立てたことにある。役者しかり、台詞しかり、映像しかり。新たな一歩を踏み出そうと思える繊細さがあった。
本間かなみPが語る、『晩餐ブルース』に込めた思い TVerで見返してほしい注目シーン解説も
井之脇海と金子大地のW主演ドラマ『晩餐ブルース』(テレ東)のプロデューサーを務める本間かなみのインタビューコメントが公開された。…最終話が終わったいま、いつまでも続くと思っていた日常が突然断ち切られたときの戸惑いに似た感慨を覚えている。折に触れて見返したくなりそうなドラマだった。
◼️配信情報
『晩餐ブルース』
U-NEXT、TELASA、J:COM STREAM、milplus、Prime Videoにて配信中
出演:井之脇海、金子大地、草川拓弥、穂志もえか、石田卓也
脚本:山西竜矢、灯敦生、高橋名月、阿部凌大
監督:こささりょうま、川和田恵真
プロデュース:本間かなみ(テレビ東京)、勝俣円(DASH)、梅田悠月(DASH)
音楽:tomisiro
制作:テレビ東京、DASH
制作協力:味の素株式会社
©「晩餐ブルース」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/bansanblues/
公式X(旧Twitter):https://x.com/tx_bansanblues
公式Instagram:https://www.instagram.com/tx_bansanblues/#
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@tx_bansanblues























