『怪獣8号』劇場総集編が克服した“アニメ版の課題” 『保科の休日』で新たな一面も堪能

さらに『保科の休日』は、総集編で戦闘シーンがメインとなっているために描写が薄くなってしまった第3部隊同期メンバーたちの個性を見事に補完している。主人公カフカではなく伊春とレノが中心となって物語が進行し、隊員たちの多面的な一面も垣間見ることができるため、防衛隊員たちのプライベートな時間を覗き見しているような特別な気分を味わえる。保科が主役ではあるものの、他のキャラクターのファンにとっても見応えのある内容で構成されているため、カフカの同期隊員の中に推しがいる人は要チェックだ。

同時上映のエピソードとなるとどうしても本編のおまけ感が強くなるイメージがあるが、『保科の休日』は独立した一つのアニメとして十分に堪能できる内容であり、ファンなら迷わず劇場へ足を運ぶ価値があるだろう。

7月より第2期の放送も予定されている『怪獣8号』。次のシーズンでは内山昂輝が演じる第1部隊隊長・鳴海弦の本格的な活躍が期待されており、原作ファンだけでなく、アニメから入った視聴者にとっても期待が膨らむ展開が控えていることを感じさせる。
『怪獣8号』の魅力は派手な怪獣バトルだけでなく、主人公カフカをはじめとする個性豊かな防衛隊員たちのキャラクター性や人間関係、そして彼らの成長物語にもある。今回の第1期総集編と『保科の休日』の上映は、まさにそうした『怪獣8号』の多様な面白さを短時間で体験できる機会といえる。ある意味ではテレビアニメを超える緊迫感あふれる本編の戦闘シーンと、日常の一コマをユーモアたっぷりに描いた短編という、対照的な2つの作品を同時に楽しめる今回の劇場上映は、第2期への期待を自然と高めてくれた。普段とは少し違った角度から覗く『怪獣8号』の世界に、ぜひ劇場でのめり込んでみてはいかがだろうか。
■公開情報
『怪獣8号』第1期総集編/同時上映『保科の休日』
公開中
キャスト:福西勝也(日比野カフカ/怪獣8号役)、瀬戸麻沙美(亜白ミナ役)、加藤渉(市川レノ役)、ファイルーズあい(四ノ宮キコル役)、河西健吾(保科宗四郎役)、新祐樹(古橋伊春役)、河本啓佑(出雲ハルイチ役)、武内駿輔(神楽木葵役)、千本木彩花(小此木このみ役)
監督:宮繁之、神谷友美
シリーズ構成・脚本(第1期):大河内一楼
『保科の休日』ストーリー原案:附田祐斗
原作:松本直也(集英社『少年ジャンプ+』連載)
脚本:木戸雄一郎
キャラクターデザイン・総作画監督:西尾鉄也
怪獣デザイン:前田真宏
美術監督:木村真二
色彩設計:広瀬いづみ
3D監督:松本勝(第1期)、新垣隼(「保科の休日」)
撮影監督:荒井栄児
編集:肥田文
音響監督:郷文裕貴
音楽:坂東祐大
怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラー
アニメーション制作:Production I.G
配給:TOHO NEXT
©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
公式サイト:https://kaiju-no8.net
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/KaijuNo8_O






















