『あんぱん』“愛と勇気”の物語がいよいよスタート! “運命”づくしの朝ドラが必見の理由

第1週の冒頭には、50代前半ののぶと嵩が登場する。嵩が描いているのはアンパンマンになる前のモデルのイラスト。1973年に絵本として初めて出版されることになる『あんぱんまん』の前日譚としてのワンシーンであり、作中ではもちろんその先も描かれることとなる。『アンパンマン』が生まれた大きなきっかけにあるのは、やなせの壮絶な戦争体験。2025年は戦後80年の年でもあり、会見で倉崎は「今までの朝ドラ以上に戦争というものをちゃんと日数を使って描いております」と話していた。倉崎も携わっていた『エール』(NHK総合)は近年の朝ドラの中で群を抜いて、生々しい描写で戦争の恐ろしさを伝えた作品だったが、それとはまた別ベクトルの“空腹”というつらさを、『あんぱん』では伝えていくようだ。会見が開かれた時期にちょうど戦争パートを撮影中だった北村は、軍隊の所作など「別作品を撮っているよう」だと話しながら、実際に絶食をして実際に飢えを体験し、芝居に臨んでいるとも話していた。

作中には、やなせが書いた詩やエッセイの中の言葉がセリフに散りばめられている。「アンパンマン」がアニメの中で体現している“逆転しない正義”は、お腹がすいて困っている人がいたら、一かけらのパンを届けるということ。初回冒頭で嵩がつぶやく「正義は簡単にひっくり返ってしまうことがある」というセリフからも分かるように、本作を貫く大きなテーマであり、視聴者一人ひとりが自分にとっての正義とは何なのかを考えるきっかけにもなるかと思う。
事前番組で、生前のやなせが暢のことを「体の一部」「共同体」と話すVTRが印象的だった。夫婦という関係性を超えた運命のパートナー。今作で6度目の共演となる今田と北村が、のぶと嵩という役を通して、日本の朝に愛と勇気を届けていく。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、3月31日(月)スタート 毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、松嶋菜々子
作:中園ミホ
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















