奥平大兼が背負った“孤高のリーダー”という重責 『御上先生』で若手の中心ポジを完全に確立

とはいえ神崎は、喜怒哀楽の変化がハッキリしている人物ではなかった。脚本上、3年2組内における彼のポジションは確立されてはいたが、このキャラクターを演じる奥平には高いハードルがあったのではないかと想像できる。役の感情の起伏を演じることで、俳優は手応えを感じたりするものだ。3年2組の生徒たちが互いに影響を与え合い、変化していく中、神崎もまたたしかに変化を重ねてきた。だが、その変化の幅があまりにも大きいと、このキャラクターはブレてしまう。神崎とはご存じのとおり、最初から最後まで、物語がどう転がっていくかのカギを握る人物だった。彼のキャラクターがブレてしまっては、『御上先生』という作品全体がブレてしまう。
これを演じる奥平は、主演の松坂と同じような重責を負っていたのではないかと思う。そういう意味でもやはり“奥平大兼=神崎拓斗”とは、3年2組において特別な存在であり、やはり「孤高のリーダー」だったといえるはずである。

映画『MOTHER マザー』(2020年)で私たちエンタメファンの前に姿を現してからというもの、奥平は若手俳優の中心人物であり続けてきた。それは若い世代の観客を主なターゲットとした『君は放課後インソムニア』(2023年)などだけでなく、黒沢清監督の『Cloud クラウド』(2024年)をはじめとする作家性の強い作品でも同じだ。『御上先生』での功績は、俳優・奥平大兼の立ち位置を決定的なものにしたのではないだろうか。
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■配信情報
日曜劇場『御上先生』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/























