令和に突入した『おむすび』が描くのは現代人の悩み? 他人事ではない“健康弁当”の開発

ついに残り4週となったNHK連続テレビ小説『おむすび』。第106話では、結(橋本環奈)が幼なじみの菜摘(田畑志真)から相談を受ける。
結の祖父・永吉(松平健)が他界してから半年。聖人(北村有起哉)は顔を合わせるたびに喧嘩していた相手がいなくなり、張り合いがなくなったためか、悟りを開いたような状態になっていた。

「世の中は常に変化し、永久不変なものはない」と“諸行無常”を語る姿は本当に仏のようで笑いが込み上げてくるが、気持ちはわからなくない。年齢を重ねれば重ねるほど、その4文字を実感せずにはいられない出来事に次々と出くわすものだ。
さくら通り商店街の憩いの場でもあった聖人と愛子(麻生久美子)の理容店にも、めっきり人が集まらなくなっていた。いつも賑やかでみんなの中心的存在だった美佐江(キムラ緑子)が姿を見せることも減っている。娘の菜摘曰く、最近は料理をする気にもならないほど元気がないという美佐江。

そんな母親の姿を目の当たりにし、大手コンビニチェーンの商品開発部に所属する菜摘が企画したのが高齢者向けのお弁当だ。高齢になると、自炊から遠のくのは美佐江だけではない。単純に食が細くなるのもあるが、身体が動かしにくくなり、材料を揃え、調理して、後片付けまでしなくてはいけないことを考えると億劫になるのだろう。現代は少子高齢化や核家族化が進み、一人暮らしの高齢者も増えている。
自分で料理ができない、誰かに作ってもらうこともできないとなったら、自然と頼るのは外食か、スーパーやコンビニだ。しかし、コンビニに置いてあるのは高カロリーなお弁当が多い。そこで菜摘が考えたのは、低カロリーで栄養バランスも整った高齢者向けのお弁当。需要がありそうで部内でも評判だったが、菜摘がスイーツ部門にいた頃に企画したプリンが売れなかったためか、部長に却下されてしまったという。仕事を辞めることも視野に入れるほど思い詰めている菜摘に、結は企画段階のお弁当について管理栄養士の観点から具体的なアドバイスを送るのだった。

一方、結にも新たな悩みが生まれる。近頃、栄養指導を行っている患者から「怖い」「厳しい」と言われることが増えたのだ。健康な人だけではなく、病気の人や高齢者など、もっと多くの人を救いたいという思いから病院の管理栄養士になった結。だが、患者の身体を思うがゆえに言い方がキツくなってしまうこともある。結は親しみやすいスタンスで患者に接しているほうではあるが、それだけでは伝わらない部分もあるのではないだろうか。栄養科長の塚本(濱田マリ)は「管理栄養士なんて嫌われてなんぼ」と言うが、どうにも腑に落ちない結。




















