ウルリヒ・ザイドル製作 上級国民の快楽殺人描く『我来たり、我みたり、我勝利せり』公開

『我来たり、我みたり、我勝利せり』6月公開

 ダニエル・ヘールスとユリア・ニーマンが監督を務めた映画『Veni Vidi Vici(原題)』が、『我来たり、我みたり、我勝利せり』の邦題で6月6日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開されることが決定した。

 2024年にサンダンス映画祭、ミュンヘン映画祭に出品され話題となった本作。「ユーモアは危険な時にこそ最高に力を発揮する」という信念を持つ『Davos(原題)』の監督タッグで知られるヘールスとニーマンの日本初公開作品となる。製作は、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界三大映画祭を賑わせた『パラダイス』3部作、『サファリ』のウルリヒ・ザイドル。金持ちのアンタッチャブルさを極限まで誇張し、歯止めがないシステムの結末と、人々が自分の行動に責任を持たない世界の危険性を明らかにする。

 主人公アマンは、エレガントな億万長者であり、愛情深いファミリーマンで、趣味の狩りに情熱を注いでいる。しかし、アマンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アマンは狩りと称し、無差別に“人間”を狩り続けている。一方、娘のポーラはそんな父の傍若無人な姿を目の当たりにしながら、“上級国民”としてのふるまいを着実に身につけていく。ある日、ポーラは父に“狩り”に行きたいと言い出す。“上級国民”である彼を止められるものは何もない。何者も彼らを止めることはできない……。

 あわせて公開されたポスターでは、大富豪の父と娘が銃を構えているシーンが描かれている。その銃口の先にいるのは、獣なのか、はたまた人なのか。「連続狙撃事件の容疑者はエレガントな億万長者 上流国民の“お遊び”に方の鉄槌は下るのか——」と衝撃的なコピーが添えられている。

『我来たり、我見たり、我勝利せり』予告編

 予告編は娘のナレーションで始まる。厳しい決断を迫られる父は自然が好きで、気分展開にしばしば郊外へ出向き、“狩り”を行っている。上機嫌で山道をサイクリングしながら雄叫びを上げるアマン。そして山中に轟く銃声と人の叫び声。個人所有のヘリで移動し、お金の達人と呼ばれる大富豪。彼が行う“狩り”には時に目撃者もいるのだが、巨万の富を手にしたアマンを咎めるものは誰もいない。どんなに一般市民が吠えても、記者が迫っても、彼は意に介さない。記者に「僕はなんでもできる」と言い放つ。上級国民である彼に裁きの鉄槌は下るのか。最後に「やっちゃった」と娘が言い放って動画は終わる。彼女は何をやってしまったのか。

 また場面写真には、動物のようなメイクを施したアマンが上半身裸で両手で顔を覆い、自分の顔を繁々と見つめるどこか不気味なシーンが切り取られている。

■公開情報
『我来たり、我見たり、我勝利せり』
6月6日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
出演:オリヴィア・ゴシュラー、ウルシーナ・ラルデ、ローレンス・ルップ、マルクス・シュラインツァー、ゾーイ・シュトラウプ
監督:ダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン
製作:ウルリヒ・ザイドル
配給:ハーク
配給協力:フリック
後援:オーストリア文化フォーラム東京
2024年/オーストリア映画/ドイツ語/86分/カラー/5.1ch/スコープサイズ/原題:Veni Vidi Vici/字幕翻訳:吉川美奈子/PG12
©2024 Ulrich Seidl Filmproduktion GmbH
公式サイト:www.hark3.com/vvv 

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