興収で読む北米映画トレンド
トム・クルーズ&ブラッド・ピットが奮起うながす 米スーパーボウルが占う夏の映画興行

2月9日(北米時間)、アメリカ最大のスポーツの祭典「スーパーボウル」が開催された。ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の優勝決定戦として、現地では1億人以上が視聴するこのイベントは、スポーツ界のみならず文化・エンターテインメントなどを巻き込み、莫大な経済効果が例年見込まれている。
ハリウッドの大手映画スタジオ各社にとって、スーパーボウルでのプロモーションはコストこそ大きいが(TVスポットの放映は30秒につき800万ドル)、大きなリターンが期待できる投資だ。2024年のスーパーボウルで予告映像を初解禁した『デッドプール&ウルヴァリン』や『ウィキッド ふたりの魔女』は、ともに1年を代表するヒット作となった。
再び映画ファンの期待が高まるなか、今年はハリウッドを代表する2人のトップスターがスーパーボウルで圧倒的な存在感を示した。『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』のトム・クルーズと、Apple製作『F1(原題)』のブラッド・ピットである。
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、言わずと知れた大人気シリーズの最新作で、一部にはクルーズがイーサン・ハント役を演じる最終作とも噂される一本。後者は『トップガン マーヴェリック』(2021年)のジョセフ・コシンスキー監督が、今度は超高速F1レースの世界に挑むスポーツ映画として、同じく今夏の注目作だ。

今年のスーパーボウルでは、クルーズ&ピットがそれぞれの主演映画のプロモーションだけでなく試合前にも登場。1月に発生したロサンゼルスの山火事と、2024年10月に複数の州を襲ったハリケーン「ヘレン」の被害を踏まえ、アメリカ国民を励まし、大勝負を控えた選手たちにエールを送った(ピットが出演した映像はその意図がとりわけ明確だ)。
"Today, we celebrate the urgency of now, the thrill of what’s next, the glory of this game, and we do it as one" 🇺🇸
Brad Pitt gets us ready for Super Bowl LIX 🙏@F1 | @F1Movie | @wbpictures | @AppleFilms pic.twitter.com/5JmcbnTSG0
— FOX Sports: NFL (@NFLonFOX) February 9, 2025
“The long winding road here has all led to this.” @TomCruise welcomes us to Super Bowl LIX 💪 pic.twitter.com/bPhbS9OgGi
— FOX Sports: NFL (@NFLonFOX) February 9, 2025
この映像を制作・放映したのが保守系として知られるFOX局で、現在がドナルド・トランプ大統領の就任直後であることを考慮したとしても、スーパーボウルというお祭りで、クルーズ&ピットが“アメリカ”全体に向けて団結と奮起を呼びかけた意味と影響力は大きい。おそらくは『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』と『F1』にも興行的にプラスの作用をもたらすことになるだろう。
そのほか、スーパーボウルではマーベル・スタジオの新作『サンダーボルツ*』より新予告編が公開。ユニバーサル・ピクチャーズは『ヒックとドラゴン』(2010年)の実写映画版『How To Train Your Dragon(原題)』の、パラマウント・ピクチャーズはジャック・クエイド主演のアクションスリラー『Novocaine(原題)』のスポット映像を公開した。
ユニークだったのはディズニーの実写映画版『リロ&スティッチ』。スーパーボウルの試合にスティッチが乱入して大暴れするというコンセプトで、実写版スティッチのキュートな魅力を広くアピールした。スーパーボウルで積極的にプロモーションしたこれらの作品は、いずれもハリウッドのサマーシーズンを、ひいては世界の映画館を大いに盛り上げてくれるに違いない。




















