興収で読む北米映画トレンド
北米でファミリー映画のトレンド続く ベストセラー原作アニメ『Dog Man』がNo.1

2024年に続き、北米映画市場はファミリー映画が興行を引っ張るトレンドがもうしばらく継続しそうだ。1月31日~2月2日の週末ランキングでNo.1に輝いたのは、『Dog Man(原題)』。2週前に公開されたホラー映画『Wolf Man(原題)』でも、リュック・ベッソン監督&ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ主演のアクション映画『DOGMAN ドッグマン』(2023年)でもなく、アメリカで大人気の児童書を原作としたアニメーション映画だ。
デイブ・ピルキー著の原作『ドッグマン』は、賢いが身体が弱い警察犬と、身体は強いがバカな警察官が勤務中の負傷をきっかけに融合し、犬の頭脳と人間の身体で悪と戦うスーパーヒーローコメディ。シリーズ累計発行部数6000万部を誇るベストセラーで、日本でも数作品が邦訳された。
映画版『Dog Man』は週末3日間で3600万ドルを記録し、1月公開のアニメーション映画として、同じくドリームワークス製作の『カンフー・パンダ3』(2016年)に次ぐ歴代第2位のオープニング記録を樹立。観客の約3分の1が「大好きなシリーズだから」劇場に足を運んだというから、アメリカにおける人気ぶりは決して侮れない。
それというのも、本作は同じく北米で人気の児童書『スーパーヒーロー・パンツマン』フランチャイズの一作なのだ。2017年の映画版『スーパーヒーロー・パンツマン』は、日本では劇場未公開ながら北米で初登場3800万ドルのヒットを記録。続編として製作されたNetflixシリーズ「ぼくらのスーパーヒーロー・パンツマン」(2018年~2020年)も人気を博し、同作のクリエイターを務めたピーター・ヘイスティングスが『Dog Man』の監督・脚本に起用された。
Rotten Tomatoesでは批評家スコア76%・観客スコア86%を記録。観客の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得した。ただでさえ批評家の反応が興行に影響しないファミリー向けのアニメーション映画で、観客の大きな支持を受け、さらなるヒットが見込めそうだ。
原作の認知度ゆえだろう、海外29市場では興行収入459万ドルと渋めのスタートとなったが、もとより主なターゲットは北米の観客である。製作費は4000万ドルと控えめだから、世界興収4059万ドルを記録している現段階で成績は上々だ。
今週のランキングでは公開7週目の『ライオン・キング:ムファサ』と『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』が第3位と第6位に、公開10週目の『モアナと伝説の海2』が第7位にランクイン。トップ10圏外ながら、『ウィキッド ふたりの魔女』も第12位と粘りを見せており、ファミリー映画の存在感がより際立った。