松山ケンイチはなぜマンガ原作作品への起用が多いのか 過去作での“共通点のなさ”が理由?

松山ケンイチはなぜ実写化作品へ起用が多い?

 そして近年は、観る者の胸を熱くするヒューマンドラマ『宮本から君へ』(2019年)、織田信長を演じて若手俳優たちを翻弄した『ブレイブ -群青戦記-』(2021年)、上映中のコメディ映画『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜』(2024年)に至るまで、そのラインナップはじつに多彩だ。思い返してみれば、松山がはじめて連続ドラマで主演を務めた『セクシーボイスアンドロボ』(2007年/日本テレビ系)もマンガを原作としたものである。

 ここに何かしらの共通点を見出すことは、なかなか難しいものがある。それこそ、そのいずれもがマンガを原作とした作品であり、それぞれが大きな話題を呼んだ作品たちであることくらいだろうか。しかし私はこの“共通点のなさ”にこそ、俳優・松山ケンイチの力の大きさ、そしてポテンシャルの高さがあらわれているのだと思う。たとえば、『デスノート』ではLというあれだけ“陰”な個性を持ったキャラクターを演じていたにもかかわらず、『デトロイト・メタル・シティ』ではとびきり“陽”な役どころで作品の看板を背負ってみせた事実がある。原作ありきのあれだけ特異なキャラクターを演じると、そのイメージが俳優につきまとってしまうものだ。けれども松山は特定のイメージに縛られることがない。“カメレオン俳優”などという安易な言葉で彼のことを評したくはないのだが、松山の魅力を端的に述べるならば、さしあたりこの言葉が適切なのかもしれない。

 『クジャクのダンス、誰が見た?』では、この物語の展開とはまた別に、松山ケンイチという俳優が本作の世界に存在している事実が私たちを深く安心させる。作品の評判は上々。これもまた彼の代表作のひとつになるのではないだろうか。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の画像

金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」

「このマンガがすごい!2024」にもランクインした浅見理都の同名漫画を実写化するヒューマンクライムサスペンス。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫っていく。

■放送情報
金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:広瀬すず、松山ケンイチ、森崎ウィン、瀧内公美、絃瀬聡一、野村康太、清乃あさ姫、斉藤優(パラシュート部隊)、酒井敏也、酒向芳、藤本隆宏、西田尚美、仙道敦子、原日出子、リリー・フランキー、磯村勇斗
原作:浅見理都『クジャクのダンス、誰が見た?』(講談社『Kiss』所載)
脚本:金沢知樹
プロデュース:中島啓介、内川祐紀、丸山いづみ
演出:田中健太、青山貴洋、福田亮介、棚澤孝義
主題歌:Ado「エルフ」(ユニバーサル ミュージック)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS

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