『ホットスポット』“伏線”が繋がるバカリズム脚本の気持ちよさ “絶体絶命”回避のおかしみ

『ホットスポット』“伏線”が繋がる爽快感

 ここまで緻密に積み上げてきた伏線が繋がっていく気持ちよさと、改めて実感するバカリズム脚本の凄さ。第2章突入となる『ホットスポット』(日本テレビ系)第5話は、宇宙人の存在が世間に知られてしまう、絶体絶命の危機を回避していく物語である。

 第5話のポイントは、大きく分けて2つある。まずは第1話から第4話まででちりばめられていた伏線=高橋(角田晃広)の目撃談が、『月曜から夜ふかし』のディレクター・岸本(池松壮亮)と松崎(前田旺志郎)の取材によって徐々に実態を帯びていくこと。綾乃(木南晴夏)の娘・りつ(原春奈)だけでなく、第1話のトラック運転手、第3話でSOSランプを点灯させていたタクシー運転手、第4話のコンビニ店員と観光客といった具合に、岸本の中で証言からただものではない「メガネの男」が浮かび上がっていく。

 ここまでの段階で多くの視聴者は、高橋の存在が世間にバレてしまうと今後の展開を予想するだろうが、そこを鮮やかに裏切っていくのが第5話におけるもう一つのポイントであり、バカリズム脚本の真髄でもあるだろう。それが、ホテルで働く小野寺(白石隼也)の宇宙人ということで話が進んでいくという、違う角度での不味さである。

 正直言って、小野寺はここまでほとんど劇中には出てきてはいないが、第1話で清美(市川実日子)が葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)に高橋の話をする時に、2人が宇宙人だと真っ先に勘違いしたのが小野寺だった。曲がった十円玉の発見をきっかけに、熱を上げていく由美(夏帆)の「小野寺くん宇宙人説」。小野寺くんもさりげなく「メガネの男」という偶然……に見せた一致も、してやられたという気分である。

 小野寺に迷惑はかけられないという理由から、清美の説得もあり、高橋は支配人の奥田(田中直樹)と由美に自分が宇宙人であることを打ち明ける。高橋の「実は私、宇宙人なんですね」というキラーフレーズは、何度聞いても面白い。奥田が信じられなくても当然だ。ここで新たに披露されるのが、能力を使っての反復横跳び。身体能力を引き上げての反復横跳びは残像が見えるレベルに達している。奥田は高橋が宇宙人であることを受け入れるしかない。

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