深川麻衣、30代で変化した仕事への向き合い方 「未知の経験を積んでいけることにワクワク」

深川麻衣、30代で変化した仕事への向き合い方

撮影裏では幽霊が現れていた?

――『愛がなんだ』以来の共演となる若葉竜也さんについてはいかがですか?

深川:若葉くんは人柄も本当にフラットで、誠実にお芝居をされる方だったので、若葉くんなら大丈夫だと思って、安心して委ねることができました。実は、撮影の後半で泊まったホテルで、若葉くんが幽霊を見てしまったみたいなんですが、撮影中にそれを話すと、私やスタッフさんたちが怖がるだろうなと思って、いつの間にか1人でチェックアウトして、その日のうちに自分で他の宿を見つけて泊まったみたいなんです(笑)。後でその話を聞いて、優しさだなと思いました。

――深川さんは大丈夫でしたか?

深川:私は霊感ないので大丈夫でした(笑)。この作品がホラーだったらものすごく怖かっただろうなって、幽霊を連れてきちゃいそうですし。

――良かったです(笑)。作中では輝道と喧嘩をして、杏奈が声を荒げて出ていくシーンもありました。緩急をつけて演じるシーンも多かったですよね。

深川:喧嘩して取っ組み合いになった後に出て行くシーンは、ワンカットで撮ったんですけど、ここは特に緊張したシーンです。少しアクションに近い感じもあり、2人の感情を強く出す場面なので、城定監督がその空気感をきりとるためにワンカットで撮ろうと判断してくれました。

――これほどワンカットを多用する現場というのは経験したことはありましたか?

深川:今泉力哉監督の作品では、ワンカットの印象的なシーンがいくつかありました。でも1つの映画にこれほど多くワンカットのシーンが入っているのは、私の経験の中では今回が初めてだと思います。実際に完成した映画を観たら、間延びすることなく、じわじわと迫ってくる不穏な空気や、カットの切れ目でハッとするような瞬間が作られているのを感じて、城定監督の頭の中には、あらかじめこのようなシーンが見えていたのだろうなと思うと、感動しました。

――本作の舞台となる麻宮村は自然が豊かで、いわゆる日本らしい田舎の風景が広がっています。深川さんは静岡県の磐田市出身ですが、共感する部分も多かったですか?

深川:共感しましたね。地方だと回覧板があったり、近くに住んでいるおばあちゃんが、自分の畑で取れた野菜をおすそ分けしに来てくれたりすることもよくありました。あと、地元でご飯屋さんに行ったら高確率で知り合いに会ったりします。横の繋がりが近い分、会話も増えますし、そういうところで繋がっていくんだなと感じました。

――都会と田舎の生活はどちらが好きですか?

深川:どちらの良さもありますが、どちらかというと田舎が好きですね。田舎育ちだからか、もし永住するなら、コンクリートだらけの場所や交通量が多いところではなく、ちょっと落ち着いた場所で、大きな公園が近くにあったり、緑が多いところに住みたいです。でも、都会は交通の便も良いですし、車がなくても生活できる点ではすごく助かっていますね。

30代で変化した、仕事に向き合う姿勢

――昨年は3年ぶりの舞台出演もありましたが、2024年はどんな1年でしたか?

深川:いろんなジャンルの作品に挑戦できた年でした。舞台のお仕事は、自分にとってそんなに多くはできていなかったので、応援してくださっている方々からは「舞台にもっと出てほしい」という声をたくさんいただいていたんです。映像と舞台はそれぞれ違うジャンルなんですけど、それぞれ違う表現の感覚があって。舞台は生ものなので本当に緊張するけど、毎日お客さんのリアクションや空気が違うのが新鮮で面白いし、肝も鍛えられます。特に昨年出演した『他と信頼と』は一度ステージに出たら最後まで捌けずに舞台上にいるので、気力と集中力が必要でした。演出家の倉本朋幸さんのアプローチにも、とても刺激を受けました。関わった方にいろいろな学びがあってすごく面白い1年でした。

――お仕事に対する向き合い方は歳を重ねるにつれて、変化していますか?

深川:20代の頃はとにかく仕事にがむしゃらで、振り返ると休みもいらないと思っていたぐらい、ワーカホリック気味だったと思います。ひたすら駆け抜けた20代でした。でも、30代になって、自然と肩の力が抜けてきて、例えばお休みができたとしても、その時間をどう充実させるかを考えるようになりました。自分が尊敬する先輩たちも、仕事に対しても全力だけど、同じぐらい趣味を充実させている方が多いんです。仕事の合間に自分の時間をどう充実させるかや、オフのときの過ごし方もその人の土台を作っていく大切な時間になると感じています。30代はメリハリをしっかりつけて、意識的に過ごしたいですね。

――忙しく見える人ほど趣味が充実していますよね。

深川:そうなんです。これからも趣味を深掘りしたり探していきたいですね。あと、年齢を重ねるごとにいただく役も変わっていくと思うので、例えばお母さん役もそうですし、新しい体験が増えていくのが楽しみです。これからも未知の経験を積んでいけることにワクワクしています。

――2025年はどんな1年にしたいですか?

深川:それが全然決めてないんですよ……(笑)。ちょっとそこが良くないなと思いつつも、のびのびとお仕事をしたり、自分の趣味を楽しんだりできたらなって思います。特に仕事を根詰めると、どんどん肩に力が入っちゃうタイプなので、なるべくリラックスして、でも強弱はしっかりつけて、メリハリを持ってやっていきたいなと思います。

■公開情報
『嗤う蟲』
新宿バルト9ほかにて公開中
出演:深川麻衣、若葉竜也、松浦祐也、片岡礼子、中山功太、杉田かおる、田口トモロヲ
監督:城定秀夫
脚本:内藤瑛亮、城定秀夫
音楽:ゲイリー芦屋
製作幹事:ポニーキャニオン
製作プロダクション:ダブ
配給:ショウゲート
2024年/日本/カラー/シネスコ/DCP5.1ch/99 分/PG-12
©2024 映画「嗤う蟲」製作委員会
公式サイト:waraumushi.jp

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