第82回ゴールデングローブ賞に感じた“気概” 印象的だった浅野忠信らのスピーチを振り返る
『SHOGUN 将軍』組のスピーチはシンプルかつパワフル
さて、ブラジルが盛り上がる一方で『SHOGUN 将軍』の4冠獲得で日本メディアも沸き立っている様子だ。
助演男優賞を受賞した浅野忠信はスピーチに上がると「ワオ……」と感嘆。「たぶん僕のことを知らないでしょう(Maybe you don’t know me)」と話し、会場の笑いを誘った。撮影中であり、すぐに日本に帰らなければいけないことを明かしながら、今回授賞式のために渡米したこと、受賞できたことに対し「自分にとって大きなプレゼントになりました、ありがとうございます(This is very big present for me, thank you so much)」と英語で喜びを語った。隣に通訳者が立っていたが、おそらく登壇した際に自分自身の言葉で思いを伝えたいと感じたのだろう。会場から大きな拍手が巻き起こった。
主演男優賞(ドラマ部門)を受賞した真田広之もスピーチにて「これまでの人生で出会った全ての人に感謝しています。あなた方のおかげでここに今自分は立てています(Thank you for everyone who has been in my life. All of you have brought me here)」と、受賞の喜びや他の候補者、出演者への感謝を述べた。そして「全世界にいる若い俳優やクリエイターの皆さんへ、どうか自分らしく、自分を信じて、そして絶対に諦めないでください(For the young actors and creators in the world, please be yourself, believe yourself and never give up)」と力強いメッセージを残した。
全編流暢な英語でのスピーチの中で、もう一点印象的だったのが、開口一番に「私もあそこにいたよ(I was there)」と言い、会場が爆笑した場面だ。これは今回受賞発表の直前に行われるノミネート者の紹介の仕方が、どの席に座っているのかカメラで映すという手法を取っていたことに対してのもの。真田の名前が呼ばれると、本来彼がカメラに映されるはずが、なぜか手違いでゲイリー・オールドマンが映され、遅れて真田本人が映ったのである。個人的には従来のように名前が呼ばれると、作品内の映像が流れるスタイルの方が良いと感じている。候補者がどれだけ素晴らしい演技をしたのかが全世界に視覚的に届くため、受賞結果にかかわらず意味があることのように思えるのだ。実際に座席に座っている本人を見ても仕方ない部分があるので、来年度は何か変化があることに期待したい。
浅野と真田のスピーチもシンプルだったが、主演女優賞(ドラマ部門)を受賞したアンナ・サワイは、よりコンパクトに投票者への感謝を述べた。しかし、そんな中で「私はどんな時でもキャシー・ベイツに投票しますが(even though I would vote for Kathy Baits any day)」と、尊敬する彼女への気持ちを語ったのが印象的だった。ちなみにベイツは『Matlock(原題)』で同カテゴリーにノミネートされていた。
受賞結果一覧は以下の記事にて。
第82回ゴールデングローブ賞受賞結果発表 テレビ部門で『SHOGUN 将軍』が4冠の快挙
第82回ゴールデングローブ賞の授賞式が、1月5日(米現地時間)に米ロサンゼルス・ビバリーヒルズで開催された。 映画部門はアカ…