『劇場版ドクターX』完結編に相応しい“シリーズらしさ” 米倉涼子の唯一無二の迫力

『劇場版ドクターX』“らしさ”に満ちた完結編

 キャラクター周りをしっかり押さえつつ、ストーリーでも完結編に相応しい、踏み込んだ展開が続く。本格的に描かれる大門未知子の過去、神原と大門の絆、決め台詞「私、失敗しないので」の真意と、「医者はどうあるべきか?」というメッセージ……。完結編に相応しい、作り手からファンに向けての「伝えたいこと」が真っすぐに投げられる。とはいえ、そこで考え込みすぎず、良くも悪くも真面目になりすぎないのも、このシリーズらしい。中盤から染谷将太のまわりで2~3回ほど「それはさすがに無茶では?」な展開もあるのだが、不思議と「あり」と思えてしまうのは、それだけ『ドクターX』の世界観(と言うより、この作品の空気だろうか?)がしっかりしているからだ。現実や他の映画なら無理かもしれないが、「まぁ『ドクターX』だからイイか」と許せてしまうのである。

 シリーズのファン以外が観た時、疑問に思う箇所は多々あるだろう(こんなに臓物が堂々と映る映画もホラー映画以外では珍しい)。しかし、『ドクターX』のファンならば、恐らくいい気持ちでシリーズ完結を見送れるはずだ。エンドロールの映像では「12年間、楽しいドラマをありがとうございました」と、素直に感謝の気持ちを送れた。そして、主要キャラクターを演じる内田有紀が、ある時期からまったく変わっていないことに、言い知れぬ凄みを感じたことを記して、この記事を終わりたい。

■公開情報
『劇場版ドクターX』
全国公開中
出演:米倉涼子、田中圭、内田有紀、今田美桜、勝村政信、鈴木浩介、染谷将太、西畑大吾、綾野剛、遠藤憲一、岸部一徳、西田敏行
脚本:中園ミホ
監督:田村直己(テレビ朝日)
音楽:沢田完
制作プロダクション:ザ・ワークス
製作幹事:テレビ朝日
配給:東宝
製作:「劇場版ドクターX」製作委員会
©2024「劇場版ドクターX」製作委員会
公式サイト:https://doctor-x-movie.jp/
公式X(旧Twitter):@DoctorX_tvasahi
公式Instagram::@doctorx_official
公式TikTok:@doctorx.2021

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる