『ライオン・キング』はなぜ愛される？　ディズニーの歴史変えた名作のヒット理由を徹底分析

『ライオン・キング：ムファサ』の注目ポイント

　そんな魅力あふれる『ライオン・キング』のはじまりを描く『ライオン・キング：ムファサ』が2024年12月20日に公開される。本作は「ディズニー史上、最も温かく切ない“兄弟の絆”の物語。本当の“ライオン・キング”は、ムファサで完成する」と銘打たれており、ムファサが偉大な王となるまでの冒険と、後に「スカー」と呼ばれるようになるタカとの運命の出会い、そして知られざる“兄弟の絆”が明かされるようだ。

　アニメーション版、“超実写版”ともに、その音楽も大きな魅力である『ライオン・キング』。新作『ライオン・キング：ムファサ』の音楽には、リン＝マニュエル・ミランダが参加している。彼はブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』で数々の賞を受賞し、『モアナと伝説の海』（2016年）や『ミラベルと魔法だらけの家』（2021年）、『リトル・マーメイド』（2023年）など、近年多くのディズニー作品に携わってきた名クリエイター。最新作では、血のつながりを超えた“兄弟の絆”でむすばれた若き日のムファサとタカの喜びを歌う劇中歌「ブラザー/君みたいな兄弟」をはじめ、7つの新曲を書き下ろしている。「ブラザー/君みたいな兄弟」はハッピーな曲調ながら、将来彼らがどのような関係になるかを知っている我々が聞くと、切ない思いに駆られてしまうエモーショナルな楽曲に仕上がっているようだ。また本作では、冷徹な敵ライオン・キロスがヴィランとして若きムファサとタカの前に立ちはだかる。キロスの声を演じるのは、近年『インディ・ジョーンズと運命のダイアル』（2023年）など、多くの作品でヴィランを演じているマッツ・ミケルセン。得体の知れない不気味なキロスが歌う楽曲もあるようで、なかなか聞けない“北欧の至宝”の歌声も必聴となるだろう。ミュージカル界を背負うリンが、どんな心揺さぶる音楽を聞かせてくれるのか、期待が高まる。

　さらに監督を務めるバリー・ジェンキンスの手腕にも注目だ。『ムーンライト』（2016年）でアカデミー賞作品賞を受賞した彼は、美しい映像とドラマを得意とする映画監督と言っていいだろう。そんな彼がミュージカルに初挑戦した本作では、ジェンキンスの卓越した映像センスと、ミランダが手掛けた楽曲との化学反応が見られることを期待したい。

　『ライオン・キング：ムファサ』には、これまでの『ライオン・キング』作品でもおなじみのキャラクターも多数登場し、彼らの過去が明かされる。若き日のムファサと、後にスカーと呼ばれるようになるタカの知られざる“兄弟の絆”が明かされるだけでなく、本作にはラフィキやサラビ、ザズーも登場するとのこと。彼らそれぞれの過去、そしてその関係も気になるところだ。とくにラフィキは『ライオン・キング』でも謎の多いキャラクターだっただけに、その過去やムファサとの関係にも注目が集まる。さらにシンバの娘であるキアラや、ティモンとプンバァも登場。『ライオン・キング』のはじまりを描く本作で、彼らはどのように活躍するのだろうか。

　さらに超実写プレミアム吹替版の声優には、ムファサ役に尾上右近、タカ役に松田元太（Travis Japan）、サラビ役にMARIA-Eと、ミュージカルでも活躍してきた実力派の面々が集結しており、演技だけでなく歌の面にも期待される。キロス役の渡辺謙は、ブロードウェイで『王様と私』に出演した経験もあり、その力強い歌声にも注目だ。また、シンバ役の賀来賢人やナラ役の門山葉子、ティモン役のミキ亜生とプンバァ役の佐藤二朗らが“超実写版”『ライオン・キング』から続投。とくに活躍が期待される“ティモプン”の2匹は、予告編では「ハクナ・マタタ」の替え歌も披露しており、本作ではどんな楽しいシーンを演じてくれるのか楽しみだ。

　すでに明かされている情報では、ムファサは実は孤児で、後にヴィラン・スカーとしてムファサの命を奪うこととなる王子タカに命を救われ、群れに迎え入れられるという。驚きの新事実だが、幼い頃に“兄弟の絆”を結びながら、なぜスカーはあれほどまでにムファサを憎むようになったのか。彼はなぜ「スカー」と名乗るようになったのか。そして、ムファサはいかにしてプライドランドの偉大な王になったのか。“超実写”の美麗な映像で綴られる『ライオン・キング：ムファサ』には、『ライオン・キング』につながる壮大な「サークル・オブ・ライフ」を期待したい。

■公開情報
『ライオン・キング：ムファサ』
12月20日（金）全国公開
監督：バリー・ジェンキンス
字幕版声優：アーロン・ピエール、ケルヴィン・ハリソン・Jr.、ティファニー・ブーン、マッツ・ミケルセン、ドナルド・グローヴァー、ブルー・アイビー・カーター、ビヨンセ・ノウルズ＝カーター、ジョン・カニ、セス・ローゲン、ビリー・アイクナー、プレストン・ナイマン、カギソ・レディガ
超実写プレミアム吹替版声優：尾上右近、松田元太（Travis Japan）、MARIA-E、吉原光夫、和音美桜、悠木碧、LiLiCo、賀来賢人、門山葉子、佐藤二朗、ミキ亜生、駒谷昌男、渡辺謙
配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題：Mufasa: The Lion King
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