『無能の鷹』が伝えた“ありのままの自分でいること”の大切さ 鷹野たちとの再会を願って

『無能の鷹』が教えてくれた大切なこと

「頑張らなくていいや。鷹野はずっと、鷹野のままでいて」

 超有能そうなオーラを醸し出しながらも、実は衝撃的に無能な新入社員・鷹野ツメ子(菜々緒)。彼女はただ普通に生きているだけなのに、とんでもないミラクルを次々と起こし、周囲の人々に大きな影響を与えてきた。

 ありのままの自分でいることが、もしかしたら誰かの、何かの役に立つのかもしれない。『無能の鷹』(テレビ朝日系)最終話で起きる怒涛の展開は、その究極とも言える。

 鷹野と鶸田(塩野瑛久)がTALONに入社してまもなく1年が経とうとしていた頃、会社がAIによるITコンサルティング業の100%自動化に乗り出す。それに伴って、開発部以外の部署は縮小されることになり、営業部にいたっては閉鎖が決定。営業部の社員たちは開発部に異動するか、もしくは転職するかの2択を迫られることに。

 あまりに突然の出来事だが、いずれはAIに49%の仕事が取って代わられると言われている今、彼らが置かれた状況は決して他人事ではない。人間はよりクリエイティブな能力を求められ、誰かに与えられた仕事しかできない、ましてや鷹野のように与えられた仕事もまともにこなせない人は真っ先に淘汰される……はずだった。

 鶸田と訪れた取引先で迷子になった鷹野が迷い込んだのは、イノベーティブでブレイクスルーな究極のロボットを開発する現場。そこで、いつもの調子で質問に答えていた鷹野の発案により、高性能に見えて何の役にも立たないロボット、通称“鷹ロボ”が開発される。鷹野の行動パターンを習得させたそのロボットは「よくわからないけど、なんだかいい感じ」と世界中で大ヒットし、「戦うのが馬鹿らしくなった」と戦争まで終わらせてしまった。

 たしかに鷹野の見掛け倒しっぷりには、「相手を出し抜いてやろう」とか、「舐められないようにしなきゃ」とか、いろいろ考えていたことがすべて馬鹿らしくなって、どうでもよくする不思議な力がある。国対国、人間対AIのように、あらゆるものが対立構造に落とし込まれて、ピリピリとしたムードが漂う現代において、本当に必要とされているのは実は鷹野のような人間なのかもしれない。

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