味方良介、2.5次元俳優から映像界に欠かせない存在へ 『嘘解きレトリック』は新たな代表作に

味方良介、『嘘解きレトリック』は代表作に

 どの作品を観ても、目が離せない俳優がいる。そう、現在放送中の月9ドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)に出演している味方良介だ。彼が演じるのは癖のあるキャラクターばかりなのに、どこか人間臭くて憎めない。

 本作は、“やたら鋭い観察眼を持つ借金まみれの貧乏探偵”の祝左右馬(鈴鹿央士)と、“ウソを聞き分ける奇妙な能力者”である浦部鹿乃子(松本穂香)が、その特殊能力を使って、さまざまな難事件を解決していく。鈴鹿央士と松本穂香が作品の中心になっているが、上村ひなの(日向坂46)や北乃きい、黒羽麻璃央など毎話登場するゲストが展開を左右することも少なくない。その中で、左右馬や鹿乃子らと第1話から付かず離れずの関係性で度々登場してきたのが、味方演じる端崎馨である。

 必ずしも出演シーンが多いわけではないのだが、端崎として目の前に存在しているかのような錯覚を覚えるほど、味方が演じる端崎というキャラクターが生き生きしているのだ。

 もともと舞台を中心に活動していた味方の出世作となるのは、2.5次元ミュージカルの代表作『テニスの王子様』2ndシーズン。味方が演じた柳生比呂士は、どこまでも紳士的な言動と振る舞いでジェントルマンと称される好青年だが、コートでの勝負となると誰よりも冷徹で、加減を知らない一面もある。常に表情が変わらず、舞台でも感情を伝えるのが難しいキャラクターではあるが、味方は徹底した表情管理と持ち前の運動神経で、ギャップのある柳生の魅力を引き出していた。

 その後、ミュージカル『薄桜鬼』、ミュージカル『「黒執事」-Tango on the Campania -』、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など、漫画やアニメを原作とする作品に出演し、2.5次元俳優として頭角を現した。2.5次元俳優として一躍注目を集める中で、つかこうへいの戯曲『熱海殺人事件』を、岡村俊一の演出で上演した『熱海殺人事件』では木村伝兵衛役に抜擢。これまで5度出演しているが、筆者が実際に観たのは2022年に上演された『新・熱海殺人事件 ラストスプリング』。乃木坂46を卒業した新内眞衣が婦人警官・水野朋子役を務めており、味方の少々高飛車な物言いと、それに翻弄される新内との掛け合いが素晴らしかった。味方の力強くも繊細な声はどの作品でもいい味を出している。

 ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、『あずみ~戦国編~』など、舞台経験を重ねていく中で、2020年に『教場』(フジテレビ系)でテレビドラマ初出演を果たす。味方も「今まで培ってきたもので勝負すると自分の中で少しズレが生じて苦労しました」と語っていたように(※)、舞台とドラマは似ているようで、まったく異なる演技へのアプローチが求められる。成績優秀だが、木村拓哉演じる風間教官にも躊躇なく立ち向かっていく都築耀太を演じた味方は、ミュージカルで培われた巧みな表情管理はそのままに、内に秘めた葛藤を丁寧に描き出しており、その演技は高く評価された。

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