『来世は他人がいい』『エヴァ』『ガンダム』など 石田彰はミステリアスな役ほどハマる!

石田彰は“ミステリアス”な役ほどハマる!

 TVアニメ『来世は他人がいい』がとにかく面白い。こんな直球の表現を冒頭から投げつけられるのは、少々ためらわれるかもしれないが、作品の魅力を的確に言い表そうとすればするほど、この「面白い」という言葉以上に相応しい表現が見つからないのである。原作が、講談社『アフタヌーン』にて連載中の小西明日翔による大人気コミックという評判は耳にしていたが、TVアニメを通して本作に初めて触れ、正直なところ痺れた。

 作品の圧倒的な面白さを支える中心にいるのが、ヤクザの孫娘である染井吉乃と、同じくヤクザの孫息子の深山霧島という、一筋縄ではいかない魅力を放つ2人の存在だ。そして、この深山霧島を演じる声優として石田彰が起用されているという事実も見逃せない。

 「CV.石田彰=裏切りキャラ」―― これは声優ファンの間で長年語り継がれてきた、半ば伝説のような定説だ。確かに『新世紀エヴァンゲリオン』の渚カヲルや、『スレイヤーズ』のゼロス、『機動戦士ガンダムSEED』のアスランなど、裏切りや複雑な心情を抱えたキャラクターの代表格とも呼べる役柄を数多く演じてきた石田。

 しかし実際のところ、その「裏切り」は単純な背信行為とは限らない。「裏切り」の予感がストーリーの伏線になりながら、実は最後まで同志であり続けたり、あるいは裏切りが思いもよらない形で回収されるなど、「裏切りという行為そのものの意味を考えさせられる」とファンの間では話題になっているほど。

 「石田彰キャラ=裏切る」は必ずそうなるという単純な図式ではなく、どこか底知れない魅力を漂わせ、次の一手が読めないキャラクターを演じることが多いという特徴から生まれたイメージなのである。少々余談ではあるが、最近のエピソードで言えば、TVアニメ『【推しの子】』でカミキヒカルの声優が明かされていなかった時期に、実際の担当声優となった宮野真守と並んで有力候補として名前が挙がっていたのも石田だった。

 つまり、石田の真髄は「この先、彼は味方なのか敵なのか」という期待と不安を同時に抱かせ、「本当の目的は何なのか」と観る者の想像を掻き立てる……そんな独特の緊張感を生み出す演技力にあるのだろう。冒頭でも触れた通り、そんな石田が『来世は他人がいい』で演じるのは、祖父の意向で関西の暴力団の娘・染井吉乃と婚約することになる深山霧島だ。

 一見すると、吉乃を優しく迎え入れ、爽やかで人当たりが良く、とてもヤクザの血筋とは思えない好青年として登場する。そのルックスから学校では、女子からの人気も高い。しかし、これが実に良い意味で「普通」の範疇を超えたキャラクターなのである。

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