『嘘解きレトリック』“複数の顔を持つ”片岡凜の見事な演技 作品の魅力を象徴する終幕に
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なんと、品子は3人いた。清楚で優しげな品子、凛として冷たい品子、そして弱々しく震える品子……1人の「品子」という女性が様々な表情を見せているのではなく、そもそも品子は複数人いたのである。
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演じる片岡凜は、3人の品子それぞれに独自の魂を吹き込んでいく。表情、仕草、声のトーン、一つひとつが異なる人物であることを繊細に表現しながら、どこか共通する不思議な雰囲気も漂わせた演技は見事だった。これまでも朝ドラで1人2役を演じ、高い評価を得てきた片岡だが、今回の品子という複雑な役は、その演技力を一段と引き上げることとなった。片岡が“複数の顔を持つ”女優として本作の品子役にぴったりであったことは、SNSでの視聴者の反応からも受け取れる。
第5話のラスト、長年の因習から解放された品子たちが見せる笑顔には、安堵と共に何か言い知れない不気味さも残る。この作品の持つミステリアスな魅力を象徴するかのような、印象的な終幕となった。
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品子たちが紡いできた嘘は、確かに真実を隠すためのものだったが、それは同時に彼女たちが生きるために必要な手段でもあったのかもしれない。長年続く因習を守るため、そして何より他の“品子”を守るために紡がれた嘘。その嘘は、時に残酷で、でもどこか切なく、そして儚い愛情すら感じさせるものだった。
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嘘は、人を傷つけることもあれば、守ることもある。今回、嘘を見抜く力を持つ鹿乃子が目にしたのは、因習という名の重圧の下で生きる女性たちの、切なくも強かな姿だった。毎話様々な嘘の形が描かれる本作だが、善悪だけでは割り切れない“何か”を隠すのも、また嘘の持つ役目なのかもしれない。
■放送情報
『嘘解きレトリック』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:鈴鹿央士、松本穂香、味方良介、片山友希、大倉孝二、磯山さやか、今野浩喜、村川絵梨、櫻井淳子、杉本哲太、若村麻由美ほか
原作:都戸利津『嘘解きレトリック』(白泉社・花とゆめコミックス)
脚本:武石栞、村田こけし、大口幸子
演出:西谷弘、永山耕三、鈴木雅之
プロデュース:鈴木吉弘、狩野雄太
制作協力:AOI Pro.
制作・著作:フジテレビ
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