松平健、『おむすび』の重要なムードメーカーに 北村有起哉との“受け”の演技は一級品
また同ガイドでは、永吉の息子である聖人役の北村有起哉との撮影現場でのやり取りについても語っている。「真面目で細かく考える息子・聖人と永吉はぶつかってばかり」と述べたうえで、「取っ組み合いのけんかをするシーンでは、アドリブを加えて少し長めに撮っています。北村さんは計算して細やかなお芝居をなさる方。本番ではリハーサルよりガーッと怒ったり、感情の変化を大きくしたりなさるので、それに私が対応する形ですね」と続けている。永吉は愉快で豪快なキャラクターだが、聖人に対してのみ、やたらと厳しい。視聴者からすると、松平側が北村に対して仕掛けているように見えたりするものだが、どうやら違うらしい。じつは松平は“受ける(仕掛けられる)側”のようなのだ。
たしかに、よくよく見ると彼らのやり取りで主導権を握っているのは聖人のほう。北村のほうだ。ふたりは劇中の親子関係を立ち上げながらも、“撮影現場の裏側”といえるものを、いっさい感じさせない。このような演技者同士の“業”により、一つひとつのシーンは作り手の意図に沿って成立しているのだ。本作は結が落ち込んだときなどに作品全体のトーンが暗くなるものだが、この自由奔放なムードメーカーが登場するたびに物語は明るさを取り戻してきた。劇中では極めて“天然”なキャラクターとして描かれているが、すべては松平のパフォーマンスありき。さすがである。
永吉さんも糸島フェスティバルのステージに出る気満々😊キラキラの衣裳をバッチリ着こなしていらっしゃいます。
もしかしたら、ギャルより派手かもしれません。#松平健 #朝ドラおむすび #朝ドラ pic.twitter.com/xlPzjimAoC— 朝ドラ「おむすび」公式🍙放送中 (@asadora_bk_nhk) October 23, 2024
「マツケン」の愛称でも親しまれる松平は誰もが知る国民的俳優のひとりだが、朝ドラへの出演は意外にもこれが初。まだ私たちの知らないマツケン像を、いま垣間見せているところなのだ(ここでも“暴れん坊”といえばそうなのかもしれないが……)。これからも本作は結たちの暗い過去に言及するシーンがあるのだろう。この過去こそが、現在の結たちを作り上げているのだから。そのたびに“松平健=永吉”が、朗らかにムードを変えてくれるに違いない。
■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、松平健、仲里依紗、麻生久美子、佐野勇斗、宮崎美子、北村有起哉、田村芽実、みりちゃむ、岡本夏美、谷藤海咲
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK