『アゲイン・マイ・ライフ』イ・ジュンギの身体能力に驚き “2度目の人生”から目が離せない
いつの時代もどこかで正義と悪が闘っている。ある一人の検事は「正義感はあっても権力がないと殴られる」と言った。そう、正義感だけで悪は全く動じない。闘うためには知力、財力、強靭な身体能力.....何一つ欠かすことなく手に入れ、手持ちのカードを増やさなければ太刀打ちできないどころか一瞬にして潰されてしまうのだ。
DVD-BOX1&2が発売中の『アゲイン・マイ・ライフ〜巨悪に挑む検事〜』。熱血検事のキム・ヒウ(イ・ジュンギ)は、政財界の大物チョ・テソプ(イ・ギョンヨン)を捕まえる寸前で殺され無念の死を遂げてしまう。そこに現れた赤い服を着た冥土の使い(チャ・ジュヨン)は、テソプに罪を償わせることを条件に人生をやり直すチャンスを与える。気がつくと15年前に戻り2度目の人生を歩み出したヒウ。「悪魔を捕まえられるのはそれを超える怪物だけ」。テソプをよく知る冥土の使いが放った言葉どおり、ヒウは巨悪に立ち向かうために怪物となるのだろうか。
主人公が2回目の人生を生きる設定は珍しくない。しかも、検察や政界の腐敗を描く社会派ドラマや復讐ものは韓国ドラマの醍醐味だ。ただ、数ある復讐劇のなかで、本作はシリアスすぎない軽快さが見どころで、気楽に観たい人にもうってつけだ。犯罪者たちを次々と追い込むスピード感と清廉潔白な正義のヒーローが悪を成敗する爽快さはやっぱり気持ちがいい。テソプの陰謀に巻き込まれてしまったヒウだが、1回目の人生の記憶を持ったまま臨む2度目の人生は絶対に同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。失敗は許されない状況に緊張感が走り、捕らえにいく側と抜け出そうとする側の心理戦も目が離せなくなる。
このスピードと爽やかさは主演を務めたイ・ジュンギにしか出せない味だ。それに加え、強くて頭の回転がいいキム・ヒウ検事はぴったりの役どころである。『TWO WEEKS』(2013年)や『無法弁護士〜最高のパートナー〜』(2018年)など、多くの犯罪ドラマで復讐する役を演じてきたキャリアと実力は申し分ない。本作でも肩の力を抜いた自然な演技で安心感を与えてくれる。驚くべきは高校生から現在に至るまで本人が演じていること。丁寧な役作りと眼差しに感情を乗せた演技で何者にもなれてしまう彼だからこそ、毎回新しいキャラクターを生み出せるのだろう。
またイ・ジュンギの華麗なアクションシーンも見逃せない。スタントなしのアクションは他の作品でも披露してきたが、今回は文武両道なヒウにしかできない効果的なアクションを追求したという。作品に入り込む没入度の高さがずば抜けているのもイ・ジュンギのすばらしさである。2022年SBS演技大賞で最優秀演技賞を受賞したのも納得だ。
そして、権力を用いて自らを正義にしてしまう巨悪の根源、チョ・テソプ役でイ・ギョンヨンが登場。本作が放送された2022年には『ドクター弁護士』や『アダマス 失われたダイヤ』でも冷徹な悪役として立て続けに出演しており、韓国ドラマの悪役界の重鎮とも呼べるベテラン俳優だ。取り乱すことのない精神力と重厚な雰囲気を漂わせる佇まいは口を閉じていても圧倒される。なかなかたどり着けなかったテソプとヒウの最終決戦に期待が高まるのは言うまでもない。