『ゲームセンターCX』有野課長が“挑戦”を振り返る 次に出したいグッズは“生命保険”!?
“有野課長”ことお笑い芸人の有野晋哉(よゐこ)がレトロゲームに挑戦する人気番組『ゲームセンターCX』の新たなDVD-BOXが発売される。今回で第21弾となる『ゲームセンターCX DVD-BOX21』には、本編&特典映像がたっぷり収録されるほか、制作スタッフの遊び心が詰まった封入特典も見逃せない。
ゆくゆくは『タモリ倶楽部』を超える長寿番組を目指したいという有野課長。そんな課長が、20年後に向けてすでに動き出していることとは? DVD-BOXの発売を記念して、『ゲームセンターCX』のこれまでとこれからを語ってもらった。(リアルサウンド編集部)
“おすすめ”や“星”は気にしない
――DVDシリーズ第21弾。番組がこれだけ長く続くというのは、あらためてすごいことだなと感じます。
有野晋哉(以下、有野):ありがたいですねぇ。でも、10周年記念の取材の頃から、15周年でも今回の20周年でも、節目の取材ごとに「こんなに行くと思ってましたか?」と聞かれてます。なので今回もまた「こんな続くと思ってないですよ」と言うておきます。だって、課長は毎回ゲームやってるだけで、10時収録開始・23時終了の、13分の1時間に圧縮する、ほぼ全部捨てる収録を撮ってくれる技術と編集してくれるスタッフのおかげです。20年もやってると、「一生このCSっていう世界を守るぞ」って思ってたんです。でも、ニュースで見たんやけど、『上田ちゃんネル』(テレ朝チャンネル)が19年目で地上波に行っちゃったから、えー! 地上波行けるの!? ってこっちは行かれへんのかなと夢見ています(笑)。
――毎回パッケージを購入されているという方も、きっとたくさんいらっしゃいますよね。
有野:21BOXプラス、他にもいろいろと出してるから、今回のが発売されたら全部のDVDが並んでるところをみんなにSNSに発信してほしいですね。“#GCCX部下コレ”とかで呟いてもらうかな。そんなん見たいなぁ。
――そんな方々も含めて、『ゲームセンターCX』ファンにはどんな方が多い印象ですか?
有野:めちゃくちゃかわいい、おじさんです(笑)。最初にDVDを出したときにやったイベントは、95%くらい同世代のおじさんでしたね。そういえば、当時1人だけギャルがおったな。イノコMAX(4代目AD)のファンで、みんながガチガチ緊張する阿部さん(カメラマン)にも普通に喋りかけていて(笑)。あの子どうしてるんやろ、今はもうギャル卒業して番組推しも卒業したんやろな。
――今ではファン層もすごく広がったのでは?
有野:おじさん95%からスタートして、20年もやってると、イベントで会うおじさんに恋人ができて、おじさんの妻となって、子どもができて……というストーリーがあるんですよ。『グラディウス』で言うとビックバイパーのおじさんにオプションがついたっていうのかな。おじさんの家族が増えたことで、ファンが増えた感覚がありますね。んで、家族で任天堂のYouTubeも見てもらってるのかな。
――ファミリー感があって、すごく素敵です。今回のDVDには、「有野の挑戦」が8タイトル収録されています。なかでも『ドラゴンクエスト』は、子ども時代にもプレイされていたそうですね。
有野:当時は中学生で、友達の家でやってたからクリアまでやってないんですよ。ソフトの持ち主じゃないから、晩御飯の匂いがしだすと帰ってたんですよね。最後までやる根気もなかったし。でも、当時の友達、ツーヤンとは今も繋がってますよ。こないだ地元の駅で会ったけど、「ツーヤンの話したぞ」って言うの忘れてたわ。
――放送をご覧になっているかもしれないですよ?
有野:いや、見てないと思うな。同級生から「ゲームの番組やってるやん」なんて、一回も言われたことないから。やっぱり地上波に行きたいなって思う。
――『ドラクエ』では、途中でスタッフたちが居眠りする姿も印象的でした。有野さんはニコニコされていましたけど、正直どう思っているのかなと……。
有野:う〜ん、事務所の後輩やったら、どついてましたね。でも、どついたら絶対パワーハラスメントになるでしょ。カメラに撮られてるし、証拠もあるし……って考えたら、もう、課長のプレイが至らないせいで「ラリホーにかかったか」って笑顔で言うしかないですよね。ほんまは「収録中やろ!」ってどついてやりたかったけど、時代ですね(笑)。時代が違ってたら、課長がどついてる世界線もあったかもって思いながら見てほしいです。
――有野課長も時代の流れには勝てず、ということですね(笑)。『サムライスピリッツ』では、ずっとタムタムを使い続けていましたが、やはり「最初に選んだキャラクターで勝ちたい」という思いがあるのでしょうか?
有野:勝ちたいし、「タムタム課長って呼ばれたいな」という一心です。間合いが長いし、コマンドが一番やりやすかったんじゃないかな。でも、スタッフは「タムタムだと不利ですよ?」って。
――たしかに、最初の説明でもおすすめ度を表す星の数が少なかったです。
有野:そうなんですよね。でも、それは人それぞれの感覚だから、「万人におすすめではないのは分かるけど、課長にとってはおすすめになるかもよ」という感じで、なんとかタムタムでいってやりたかったんですよ。もうね、勝つまでやめないソフト老害出てますよ。
――ゲームに限らず“星”や“おすすめ”はよくありますが、そういうものもあまり気にしないタイプですか?
有野:気にしないですね。飲食店とかに行っても、なるべく見たことないメニューに行きたい。今日もロケの合間に中華を食べたけど、“台湾乾物大根玉子焼”というのがあって、気になるから八重樫(20代目AD)に「これ頼んで」って。そうしたら、びっくりするくらいただの卵焼きやったんですよ(笑)。お店の人は「絶対美味しいから」って嬉しそうだったし頼んでよかったけど、こんなにも卵焼きだとは思わなかったから、僕も自分の酢豚をちょっとあげて、みんなもその卵焼きを一口もらって、自分のおかずを一口あげていくっていう。で、車内で「乾物大根どうやった?」って聞いたら、「ごぼうみたいな感じですね」って……はい、みんなで仲良くやってます(笑)。ランチハラスメントじゃないです。
――伝わります(笑)。『スペースハリアー』では、初めてハードを自分で決めるというシーンがありました。
有野:時代が進んだから選べるっていう大人の遊びですよね。お金持ちの家でも、1個のゲームタイトルを全部のハードで揃えないじゃないですか。
――しかも、5時間後にハードを変えるという。なかなか勇気のいることですよね。
有野:その判断も大人ですよね。5時間経っていたとしても、「いや、切り捨てよう!」っていう。でも、そのジャッジがもっと早かったら、部長になれてると思うんですよ。課長止まりなのは、やっぱり5時間粘っちゃうところですよね。
――実際、「有野課長」という呼び名が定着していますが、昇進の意志はあるのでしょうか?
有野:あるよ(笑)。ももクロとか、よくライブの終盤にメンバーにサプライズで「新曲決定!」ドーンって発表するやつあるじゃないですか。ステージ上のメンバーが見て驚くっていうやつ。さいたまスーパーアリーナ公演のとき、最後にそれがあるんだろうなと思ってたのに、何もなく終わっていきました。「ほんまに帰ってええの?」と思いながらトロッコに乗ってましたよ。早く部長になって、海外ロケ行って、外国の人に「KACHO〜」って言われて、僕言うんです「ノー、アイアム アリノブチョー!」。海外で「キャー!」って言われるやろうな〜。とにかく、昇進の意志はあります。諦めたら、そこで昇進終了ですから。
――(笑)。『悪魔城ドラキュラX血の輪舞曲』回では、亀梨和也さんをはじめ番組ファンの方についてもお話しされていますが、実際、よく声をかけられることがあるんですか?
有野:一番最初に話してくれたのが、氷川きよしくんだったんじゃないかな。そこからスタッフもめざとくなって、番組とかで自宅撮影する芸能人の本棚に『ゲームセンターCX』があるのを見つけて、「ファンですよ、あの人!」と勝手に言い出すようになりました(笑)。こないだは、石原まこちん先生がイベントに家族を連れてきていて、「息子が『来たい』と言ったのは初めてです」って。あとは、浦沢直樹先生の作業場でも流してるみたいで、「ウワーッ」と盛り上がる声が聞こえると、みんな手を止めてテレビを見るらしいです(笑)。アニメ業界の方もよく見てくれてるみたいで、声優の中村悠一さんもそうですし、櫻井孝宏さんはさいたま公演に自分でチケットを買って来てくれました。花やしきのときにも「楽屋くる?」って言ったら、「いやグッズ買って帰ります!」って(笑)。部長やったら「来なさい」って命令できるねんけどね。課長は自主性に任せます。
――業界の方から支持されているというのも、嬉しさがありますよね。
有野:できれば、もっと大々的に言ってほしいです。こちら側が「自宅の棚にDVDがあった!」って見つけなくてもいいくらいに(笑)。たぶん「おすすめのDVD」を聞かれたときに、一番目には言われないんですよね。3本目くらいに紹介しても、番組では流れへんやろうし。だから、もっと大々的に言ってください!