『おむすび』が野菜に重ねて描いた“偏見” ハギャレンとの出会いが結に大きな影響を与える

『おむすび』が野菜に重ねて描いた“偏見”

 『虎に翼』からのバトンを受け取り、主演の橋本環奈を先頭にして走り出した朝ドラ『おむすび』(NHK総合)。本作は平成元年生まれのヒロインが栄養士として、人の心と未来を結んでいく青春模様を描く作品だ。

 物語の舞台は福岡県糸島で、時代は平成16年ーー。第1週目の「おむすびとギャル」は、ヒロイン・米田結(橋本環奈)が高校に進学するところからスタート。特別な“出会い”が描かれた。

 本作のヒロインである結はごく平凡な女子高生だ。父・聖人(北村有起哉)、母・愛子(麻生久美子)、祖母・佳代(宮崎美子)、祖父・永吉(松平健)たち家族との関係も良好なようで、食卓を囲む家族の何気ない平和な光景は、結がどこにでもいる少女であることを強く印象づけるものとなっている。聖人と永吉はちょっと折り合いが悪いようだが、これくらいはどこの家庭にでもあることだろう。いくら家族とはいえ、他人同士が同じ屋根の下で暮らしているのだから。

 ところがこの家族には、ひとつ特別な点がある。それは結の姉である歩(仲里依紗)が、福岡の“伝説のギャル”であることだ。そしてこの物語はごく平凡な結が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”で激動の時代を突き進んでいくさまを描いていくものらしい。結はギャルたちと出会い、彼女たちの心に触れ、自らもギャルマインドを獲得していく。そういう物語なのである。

 そんな結はいまのところ、歩のことが嫌いである。彼女のギャル嫌いは、姉との関係に原因があるようだ。この関係はこれからじっくりと描かれていくのだろうが、ギャル全般に対して偏見を抱いていたくらいだから、姉との間にはよほどの何かがあるのだろう。

 そう、この第1週目で描かれたのは、結のギャルに対する偏見である。

 “伝説のギャル”である歩を崇拝する者たちから「博多ギャル連合(通称:ハギャレン)」へのしつこい勧誘を受ける結は彼女たちに対して「しょうもない」と言い放ち、「どうせ悩みなんてない」とまで口にしてしまう。いくら派手な見た目をしているからといって、あからさまな偏見だ。これはいただけない(結にこうまで言わせてしまうハギャレンメンバーのしつこさも問題だと思うのだが……)。

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