神木隆之介、日曜劇場主演としての決意 「皆さんの期待以上にいい作品を作れるように」

神木隆之介、日曜劇場主演としての決意

 脚本・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子。ドラマファンなら今もっとも心が踊るであろう制作陣の最新作『海に眠るダイヤモンド』が10月期のTBS系日曜劇場で放送される。映画『ラストマイル』の大ヒットも記憶に新しいチームが次の題材に選んだのは、1955年の端島。端島は現在では「軍艦島」の呼び名で知られる石炭産業で躍進した島だ。日本が高度経済成長を迎えていく時代にそこで生きた人々、そして現代の東京で生きる人々、2つの時代を行き来しながら物語は展開される。

 そんな2つの時代を一人二役で主演を務めるのが神木隆之介だ。日曜劇場初主演となる神木は、名作を生み出すチームとどう作品を作り上げているのか。放送を前に話を聞いた。

「まずは知ることを大切にするべき」

ーー日曜劇場初主演となりました。制作陣は満場一致で神木さんにオファーを出したそうですが、このお話が届いたときの気持ちは?

神木隆之介(以下、神木):すごくうれしい気持ちと同時にプレッシャーがありました。過去には『あいくるしい』、『集団左遷!!』に出演させていただきましたが、日曜劇場といえば、大人のドラマであり、主演を務めてきた方々も錚々たる方ばかりで。特に『集団左遷!!』では、当時の事務所の大先輩でもある福山雅治さんが真ん中に立って、みんなを引っ張っていく姿を見ていたので、まだ31歳になったばかりの自分で務まるのかと正直不安な部分もあったんです。でも、プロデューサーの新井(順子)さん、監督の塚原(あゆ子)さん、脚本の野木(亜紀子)さんとお話させていただいて、皆さんの自信に満ち溢れた目と、強い信念を感じて、僕も一緒に作品を作りたいと思い、参加させていただきますとご返事いたしました。「満場一致」は本作の情報が発表されたときに後から知ったことだったので、あらためて本当にうれしいです。X(Twitter)で野木さんと長田(育恵)さん(※神木が主演を務めたNHK連続テレビ小説『らんまん』の脚本を担当)がやり取りされているのをみて、『らんまん』の放送前からこのお話があったというのもビックリしましたし、うれしかったです。本当に一生懸命頑張って皆さんの期待以上にいい作品を作れるように、主役として、今はすごく前向きに頑張ろうって思っています。

1955年の長崎県・端島で生きる鉄平

ーー本作は2つの時代を行き来しながら物語が進んでいきます。しかも神木さんは、1955年の長崎県・端島で生きる鉄平と、現代の東京で生きるホストの玲央という正反対の人物を演じる一人二役です。

神木:純粋に「一人二役ってどういうことですか?」と。そして、すごく難しいなと思いました。特に鉄平は、僕が生まれる前の時代で、端島での生活も経験したことがない。端島は人口が約5000人くらいの地域で、限定された空間の中での人間関係はすごく特殊なものがいっぱいあったと思うんです。島の人全員が家族のようで、なにかあればすべて島中の人が知ってしまう環境。誰かとデートに行ったりしたら、翌日には島中の人全員が知ってしまうような状況で。それのいい面もあっただろうし、逆にその環境に耐えられず島から出ていった人もいるかもしれない。僕が演じる鉄平は端島が大好きという立場ですが、各キャラクターたちが持っている葛藤を想像するのが本当に難しいなと。ひとつの表現だけではダメで、すごく繊細な表現が必要とされてくる作品だなとあらためて感じました。鉄平に関しては、「『ONE PIECE』のルフィのようなキャラクターでいてください」と、野木さんからリクエストがありまして、玲央は無気力無感動無関心の男で、流れに身を任せているだけの男でと。雰囲気が別人になるように意識しつつ、一番変えているのは喋り方ですね。塚原監督とも相談しながら、実際に撮影を重ねながら2人を作り上げている感じです。

現代の東京で生きるホストの玲央

ーー神木さん自身はどちらに近いですか?

神木:テンションが上がるとルフィっぽさはあるので、鉄平かもしれないのですが、休みの日は家に引きこもって自堕落な生活になってしまうときがあるので、その点は玲央かもしれません。基本は鉄平だと思いますが、ちらちら玲央が出てくるというか(笑)。2人の要素が自分自身にもあるので、どっちの気持ちもわかるのはよかったですね。

ーー2つの時代が描かれる本作ならではの楽しみ方はどんな点にあると感じますか?

神木:端島パートは過去の物語ではあるので、高度経済成長期の日本がどんな状況だったのかを感じることができると思いますし、背負うものが多い各キャラクターたちに感情移入できる部分もあると思います。一方、現代パートは気楽に観られる休憩場所のようにも捉えられるし、いまを生きる我々が過去をどう見つめないといけないのかと考えるきっかけにもなるのではないかと。鉄平と玲央、あるいは他のキャラクターに思いを乗せて作品を観ることができる部分もあると思うので、限定されない見方ができる作品になっているのではないかと。

ーー過去と現在を同時に演じることで神木さん自身もさまざまな気づきがありますか?

神木:そうですね。玲央は端島を訪れて過去を知っていくことになりますが、彼と同じようにまずは知ることが本当に大事だなと。知って“変わる”までいかなくても、頭の片隅に置くだけでも、後々になにかとつながっていくこともあると思うので、話を聞いたり、調べたり、理解までいかなかったとしても、まずは知ることを大切にするべきだと感じています。

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