『素晴らしき哉、先生!』りおの「背負ってる」に詰まったもの 永井大が“保護者”役を好演
『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系/以下『すばかな先生』)第3話を観て、知らず知らずのうちに、職業に対する固定観念を抱いていたことに気付かされた。本作を観て、“教師だって人間だ”というのは分かるようになってきたつもりだったが、ほかの職業においても「〇〇に就いているから〇〇な人なんだ」と一括りにするべきではない。
それなのに、りお(生田絵梨花)の父・秀樹(高橋克典)が、有名な会社の社長だと知った瞬間、手のひらを返したように「最初から、ふつうの方とはちがうと思ってた!」「だから、しっかりしてらっしゃるのね」と媚を売り出す保護者たち。りおも、三者面談に来なかった大木戸(小宮璃央)の親に会うため、家まで出向くと言っておきながら、勝次(永井大)がヤクザだという噂を聞いた途端に「やだ! 怖いよ! 行きたくない! なんで、行くって連絡しちゃったんだ!」とあがき出す。
しかし、実際に行ってみると、勝次はヤクザではなくラーメン屋の店主をしていた。コワモテな雰囲気を纏ってはいるけれど、汗を流しながらラーメンを茹でている姿を見ると、「なんだ、真面目な人なのかも」と思えてくるから不思議だ。それなのに、勝次がかつて本当にヤクザをしていて、5年前に足を洗ったばかりだと知った瞬間に、「えっ、やっぱり怖い人なんじゃ……」と不安になってくる。
だが、その人の職業ではなく“本質”を見ると、勝次はとってもいい父親だ。三者面談に来なかった理由は、ヤクザだった自分が学校に行くと変な噂が立ち、息子に迷惑をかけるから。5年前に足を洗ったのも、息子には絶対にヤクザになってほしくなかったから。「きちんとした人生、歩いてほしくて」と目を潤ませる姿を見て、ヤクザだった過去があるから怖い人なのではないか? と先入観で判断していたことに気付き、反省した。
「大学に行ってほしい。あいつに可能性ありますか? 学歴社会なんてくだらねぇと思いつつ、あいつに立派な人生を歩んでほしくて……」
その言葉を聞いたあと、りおは「わたしたちってさ、背負ってるよね。頑張らないとね」とつぶやいていた。この“背負ってる”という言葉には、いろいろなものが詰まっているような気がする。序盤のりおは、「教師は勉強を教えるものでしょ?」と言っていたけれど、教師が背負っているのは、生徒の学力向上だけではない。生徒の未来を、よりよいものにしてあげること。そして、その先には保護者の幸せがある。