眞栄田郷敦×高橋文哉×板垣李光人×桜田ひよりが語る美術の楽しさ 「俳優の仕事と似てる」

眞栄田郷敦ら『ブルーピリオド』4S座談会

 人生を変える“熱中できるもの”との出会いは、かけがえのない喜びをもたらす。一方で、その先には「自分の限界」を悟らざるを得ないような、努力と才能の狭間で揺れる苦しみが待っていることもある。人気漫画『ブルーピリオド』の待望の実写映画化は、美術との運命的な出会いで人生が一変する高校生の物語を鮮やかに描き出す。

 主人公・矢口八虎は、日々周囲の期待に応えながらも心に虚しさを抱えていた。ある日、美術の授業をきっかけに絵を描く喜びに目覚め、「東大より難しい」と言われる東京藝大への挑戦を決意する。映画『ブルーピリオド』では眞栄田郷敦が八虎を熱演し、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりらが、美術の世界ならではの青春ドラマを紡ぎ出す。

 本作最大の特徴は、絵を描く手元やシーンに一切の吹き替えを使用していないことだ。猛特訓を重ね、美術講師も唸る技術を身につけた4人。映画『ブルーピリオド』は彼らに何をもたらし、彼らは作品に何を託したのか。

『ブルーピリオド』で好きなキャラの関係性

眞栄田郷敦
眞栄田郷敦

ーー本作には友情や恩師との関係など様々な人間関係が描かれますが、皆さんが好きな登場人物の組み合わせを教えてください。

高橋文哉(以下、高橋):八虎(眞栄田郷敦)と世田介(板垣李光人)の掛け合いが好きでした。(世田介の見ている世界が)自分にとって知らない世界だったので、より印象的でした。完成した作品を観て改めて、役同士のぶつかり合いを実感しました。ユカちゃん(高橋文哉)と八虎の間にも独特の空気感があるのですが、世田介にも独特の存在感があるなと思います。世田介だからこそ八虎に与えられるメッセージがあって、ユカちゃんだからこそ与えられるメッセージがある。森先輩(桜田ひより)もそう。その中でも、世田介とのやりとりが特に印象に残りました。

眞栄田郷敦(以下、眞栄田):俺は八虎と家族かな。お母さんはもちろん、特にお父さんと八虎の距離感や、演じるやすさんの雰囲気が好きでした。2人が生み出す空気感っていうのかな。それがすごく印象的で。

板垣李光人(以下、板垣):僕は恋ヶ窪(兵頭功海)と八虎の掛け合いが好きです。特に2人がケーキ屋にいるシーン。周りに合わせてなんとなく生きてきた2人が、好きなことを見つけて一緒に走り出していく瞬間じゃないですか。作品を観て、改めていいなと思いました。

板垣李光人
板垣李光人

眞栄田:周りが女性ばかりの中で男2人……ちょっとやりづさもあったけど(笑)。

高橋:(周りを見ながら)かわいかったですよね?

桜田:かわいかったです(笑)。

板垣:ガツガツ食べてる感じとかね。あのシーン、好きです。

桜田ひより(以下、桜田):私は八虎とユカちゃんの組み合わせです。撮影時に陰ながら、その場というよりは少し離れて見ていることが多くて。そうやって傍から見ていると、2人の独特の空気感を感じるんです。ちょっと踏み込みづらいような、2人が作り出す独特の空気感を「すごいな」と思いながら見ていました。

美術に対する印象の変化

ーー撮影に参加して、アートや創作活動に対する自身の考え方や感じ方に変化はありましたか?

高橋:絵画に対する印象がガラッと変わりました。これまで学校の美術の授業が最後の記憶くらいで、(アートに)全然触れてこなかったので。でも今回、一枚のキャンバスにこんなに集中できるんだと気づきました。家で描いていても休日1日中やれるくらいやりがいがある。創作は俳優の仕事と似ていて、正解がないんですよね。自分の色を出しやすいものだなと思って、認識も変わっていきました。

高橋文哉
高橋文哉

眞栄田:俺も原作の八虎みたいにピカソの絵がよく分からなかったんです。でも美術館や展示に行くようになって、ちょっと変わりました。「面白いな」と思えるようになって、見入っちゃいます。

板垣:僕はものづくりに対する考え方が変わりました。ある意味では、入口での「破壊行為」が大切だなって。今までの経験や積み上げてきたものは大切ですけど、時に足かせにもなる。自分の先入観を一度壊して、まっさらな状態から始めることの大切さを、デッサンを1から学んで実感しました。

桜田ひより
桜田ひより

桜田:絵一つとっても、色の重ね方で印象が変わることを学んでからは、見に行くとそればかり気になっちゃって。「どうやって重ねたらこんな色になるんだろう」とか、「こんな立体的に見えるのはこんな色塗りをしてるからなんだな」とか。そういうことをすごく考えるようになって、より一層絵と楽しく向き合えるようになりました。

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