『虎に翼』星家に拒絶された寅子の“苦言”　優未「お母さんも悪いところがあったと思う」

　ただ本音をぶつけてくれるだけ、まだマシなのかもしれない。問題はのどかの方だ。一連の流れを聞いていたのどかは、「決めたでしょ。家族のようなものを受け入れようって」「結局、お兄ちゃんはこの暮らしが嫌なの？」と兄に対して説教を始める。でも、だからといって寅子の味方をしているだけでもなさそうだ。“家族のようなもの”というワードをあえて強調していることからも、寅子や優未のことを本当の家族として受け入れたわけではないのだろう。

　寅子はもちろんのこと、航一も「（私は）家に寝に帰るだけの場所にお父さんがいてもいなくてもいい」というのどかの言葉に少なからずショックを受けている様子だった。航一は寅子と優未に対して愛情深い顔を見せているが、もしかしたらこれまでは仕事が忙しい上に不器用なゆえ朋一やのどかとあまり家族の時間を持てなかったのではないだろうか。最初は文句もあったのだろうが、今はもうすっかりスンッとして諦めているように見える。父からの初めてのお願いだから“家族ごっこ”にも付き合っているが、内心は冷めた気持ちでいるのかもしれない。

　そんな緊迫感のある星家の中で、唯一の清涼剤となっているのが優未の存在だ。百合の扱いについて自身も違和感を持ちながらも、まだ新参者ゆえに「気になることがあるなら、もう少し仲良くなってから本音を聞けばいいのでは」と寅子に的確なアドバイスをする優未。朋一との一件の後も「お母さんも悪いところがあったと思う」と中立的な立場から指摘するなど、人一倍視野が広い。それも、これまでどんなことも全員で話し合って最良の道を探ってきた家庭の中で育ってきたからなのだろう。それとは真逆に、それぞれが本音を隠して波風立てずに暮らしてきた星家。寅子は彼らと“家族のようなもの”ではなく、本当の家族になることはできるのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合：毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、（再放送）毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム：毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、（再放送）毎週土曜8:15〜9:30
BS4K：毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、（再放送）毎週土曜10:15～11:30
出演：伊藤沙莉、岡田将生、森田望智、三山凌輝、毎田暖乃、青山凌大、今井悠貴、井上祐貴、尾碕真花、名村辰、松川尚瑠輝、渡邉美穂、菊池和澄、余貴美子
作：吉田恵里香
語り：尾野真千子
音楽：森優太
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博
制作統括：尾崎裕和
プロデューサー：石澤かおる
取材：清永聡
演出：梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供＝NHK