阿部サダヲが語り尽くす『不適切にもほどがある!』 宮藤官九郎との関係性や撮影秘話も

阿部サダヲが『ふてほど』を語り尽くす

 宮藤官九郎が脚本を手がけたテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)のBlu-ray&DVD-BOXが8月28日に発売される。

 2024年1月期に放送された本作は、昭和の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が令和の現代にやってきたことで巻き起こる騒動を描いた、意識低い系タイムスリップコメディ。現代の価値観からみると不適切な発言と行動を繰り返す小川の視点を通して、昭和と令和の価値観の違いを描いた社会風刺劇は、放送されるや否や話題となり、幅広い世代から注目された。

 脚本を担当する宮藤は、プロデューサーの磯山晶と共に『池袋ウエストゲートパーク』、『木更津キャッツアイ』、『俺の家の話』といったTBSドラマの名作を生み出してきた。そして今回の『不適切にもほどがある!』では、宮藤の作品に若い時から出演してきた阿部サダヲが主演を務めたことも大きな話題となった。

 Blu-ray&DVD-BOXの発売を記念して、リアルサウンドでは小川市郎を演じた阿部にインタビューを行った。不適切な台詞を言う小川市郎をどのような気持ちで演じたのか、ミュージカルシーンはどのように撮影されたのか、そして宮藤官九郎との関係について、詳しく話してもらった。

「普段言えないようなことを言える場を作ってもらっている」

ーー『不適切にもほどがある!』は多くの人が注目する話題作となりましたが、阿部さんはどのように受け止めていましたか?

阿部サダヲ(以下、阿部):回を増すごとに反響が凄くなって。他の現場に行った時もこのドラマの話になることが多くて、「観てますよ」「最高っすね」と言われて。他の出演者もスタッフの方も、放送中はものすごい反響だったみたいです。

ーー宮藤さんのドラマで阿部さんが演じる役は、小川市郎のような粗暴な昭和のおじさんみたいな役が多いですよね。他の映画やドラマを観ると、必ずしもそういう役ばかりじゃないので、どうして宮藤さんは阿部さんにこういう役を書くのだろうって、いつも不思議で。

阿部:なんでですかね?

ーーただ、僕は『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』で阿部さんのことを知ったので、阿部さん自身がそういう人なんだと思ってました(笑)。

阿部:そんなことないと思いますけど(笑)。僕ならキツい台詞や激しいことをやっても大丈夫だと宮藤さんが思ってるんじゃないかなぁ。よくない方向に行っちゃうこともあるかもしれないけど、そこを上手くすり抜けられる技を長い間、宮藤さんと習得してきたのかもしれないですね。普段言えないようなことを言える場を作ってもらっているので、役者としては楽しいです。プライベートでは言わないことばかりですから。

ーー自分とは切り離した存在ということですか?

阿部:ちょっと溜まったものを吐き出せる場所を作ってくれている感じはします。宮藤さんも多分そうだと思いますね。ドラマ後半のテレビに関する台詞は、宮藤さんの愚痴なのかなぁと感じました。それはその通りだなぁと思うし、同じ世代だから分かりますし。

ーー今回は主演でしたが、小川のキャラクターは宮藤さんと相談しながら作っていった感じですか?

阿部:事前の相談は何もなかったです。台本をいただいて読んでから、監督たちと小川の衣装などを決めていくという感じでした。

ーー主演の時は、他の作品もそんな感じなんですか?

阿部:「こんな役をやりたい」と自分から言ったことはないですし、相談をされたこともないです。ドラマ化の作業って、1~2年前から始まってるじゃないですか。隣にいても宮藤さんはずっとカチャカチャパソコンを打っていて、常に何かを考えてるんですよ。だからわからないですね。

ーー今回は俳優としての演技の他にミュージカルパートもありましたが、準備期間はどのくらいありましたか?

阿部:それほど長い準備期間はなかったです。それができる役者が揃ってたというのはありますけど。

ーーミュージカルの曲は、事前に揃っていたのでしょうか?

阿部:第3話を撮る時に、第4~第5話の曲が出来上がる感じですかね。台本は早かったので、曲も早く作れたけど、そこから振り付けを覚えるとなると、確かに大変ですよね。だからといって文句を言う人はいませんでした。「普段と違うことができて楽しい」というのはありましたね。それを楽しめる出演者も多かったので。

ーーミュージカルシーンは、どういうふうに撮影されたのですか? 

阿部:先に歌をレコーディングしました。その曲を流しながら、後で振り付けをするという感じです。第1話の居酒屋のシーンはロボットもいたし、初めてのミュージカルパートだったので、フォーマットを作るのにすごく時間がかかって、久しぶりに夜遅くまで撮影しました。

ーー映像ではカットを細かく割ってましたが、撮影は順番に撮っていたのですか?

阿部:マルチ撮影じゃないので順番に撮ってます。最終話の「寛容になりましょう!」はタイミングを合わせるために何度も撮っていました。昭和と令和に分かれて撮影していてセットも変えないといけないから時間がかかりました。特に秋津真彦とムッチ先輩を演じた磯村勇斗くんは、昭和と令和の両方に出ていたので大変だったと思います。(吉田)羊さんと話しているシーンは誰と喋っているのか、どういう状況なのか、よくわからないまま撮っていました。「映像としては一緒にいるけど、時代は違うっていうのをやってますから」って言われて、「あ、はい」っていう感じで(笑)。

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