生田絵梨花がマシンガントーク! 『素晴らしき哉、先生!』に詰め込まれた“教師のリアル”

『すばかな先生』に詰め込まれた教師のリアル

 他人の愚痴を聞いていて、こんなにもスカッとしたのは初めてかもしれない。8月18日にスタートした『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系/以下、『すばかな先生』)。初回から、Z世代の高校教師・笹岡りお(生田絵梨花)のマシンガントークにぐいぐい引き込まれた。裏で生徒のことを「あのガキ」と呼び、モンスターペアレントを「過保護ぺ」と称して大笑いをする。教師としては褒められたことではないが、ストレスフルな現場で働いていくためには、このくらいの遊び心がないとやっていけないのかもしれない。

 筆者は学生時代、先生というのは生まれながらに先生で、SNSをやったり、飲み会でハメを外したりするようなことはないものだと思っていた。でも、友人が教職に就いたとき、初めて「先生も人間なんだ……」と気づき、急に親近感が湧くようになったのを覚えている。先生だって、恋をするし、愚痴を言うし、お酒を飲んでストレスを発散することだってある。それは、りおも同じだ。“先生”としての顔と、“普通の24歳”としての顔を使い分けながら生きている。これまで数々の学園ドラマを観てきたが、本作ほど教師のリアルが詰め込まれた作品もめずらしい。

 また、『すばかな先生』を観ていると、困難の捉え方次第で、生きやすさがガラリと変わっていくことにも気付かされる。たとえば、りおは仕事のストレスから、家を出る前に下痢に悩まされていた。普通ならば、「わたしって本当にストレスが溜まっているんだ……」「このまま仕事を続けていたら大きな病気になってしまうかもしれない……」なんて不安になるものだが、りおは裏アカで「辞めるって決心したら下痢止まった」「下痢復活」なんてつぶやきながら、すべてを笑いに昇華していく。まさに、“笑う門には福来る”を体現している存在だ。いつも、りおの愚痴を優しく聞いてくれる彼氏・聖也(小関裕太)が、「笑い飛ばさなければ、どんどん負のループに落ちていくだけじゃん」というスタンスなのも、いい。

 そして、『すばかな先生』がほかの学園ドラマと一線を画している点は、りおが初回から生徒たちの信頼を勝ち取っているところ。教師が主役の学園ドラマは、生徒たちが次から次へと問題行動を起こし、反抗心をあらわにしていくことが多いが、『すばかな先生』の場合は、万引きをしたときに身元引受人になってくれたりおに恩義がある小村(橘優輝)を筆頭に、りおに対してプラスの印象を抱いている生徒ばかり。最初の挨拶のときに、りおがクッキーが好きと言ったことを覚えていて、「先生のために焼いたんです!」と調理部の生徒たちがラングドシャをプレゼントしてくれるシーンなんかは、まるで最終回かのようなまとまり方だった。

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