黒沢清監督作品の中で一番怖い45分間 『Chime』を観たら鶏肉調理がしばらくできない

黒沢清監督作品の中で一番怖い『Chime』

 映像の質感、松岡の喋り方、カメラの先で確実に動いている何か、チャイムの音から始まる異音……と挙げていけばきりがないほどに、怖いし不快になることばかりが続いていきます。そして、あの鶏肉。あるシーンで鶏肉をさばいていくのですが、包丁の動かし方と会話だけで、ここまで嫌な気持ちにさせるとは、黒沢監督、性格が悪すぎます(最大級の賛辞です)。『ボーイフレンド』で愛すべき食材となった鶏肉もしばらく見たくないぐらいのインパクトでした。

 本作は「映画の中の三大怖いもの」を黒沢監督が注ぎ込んだとのこと。そのどれもがバラバラにならず、足し算ではない掛け算の恐さになっており、その試みは間違いなく成功しています。何が「三大怖いもの」かは、皆さん調べてください。上映時間45分、穏やかな気持ちにはならずただただひたすら怖いです。一周回って笑えるシーンもあります。中編ということもあり、『蛇の道』『Cloud クラウド』よりは注目度が落ちるかもしれませんが、黒沢監督のフィルモグラフィーの中でも重要な一作になると思います。

 3時間近くの映画作品に疲れた方、暑い夏を吹き飛ばす恐怖を味わいたい方、映画館での鑑賞をオススメします!

■公開情報
『Chime』
Strangerほか全国順次劇場上映
キャスト:吉岡睦雄、小日向星ー、天野はな、安井順平、関幸治、ぎい子、川添野愛、石毛宏、田畑智子、渡辺いっけい
監督・脚本:黒沢清
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:Stranger
©Roadstead
2024年/45分/日本
公式サイト:https://roadstead.io/chime/
公式X(旧Twitter):@Chime_roadstead

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