『虎に翼』が問い直す“自由”になることの意味 涼子と玉のシスターフッドが互いの支えに

『虎に翼』が問う“自由”になることの意味

 胤頼を桜川家から解放したかったと涼子が語るのは、家の桎梏に苦しむ両親を見てきたことも影響しているのだろう。母の寿子(筒井真理子)は最期の瞬間まで、涼子に跡継ぎを産むように促した。広い屋敷で孤独のうちに死んでいった母の姿を見て、涼子はいっそう玉を手元から離せなくなった。自分のせいで玉の可能性を奪ってしまったと涼子は詫びる。

 新憲法が施行され、華族が廃止されて全ての人が平等になった。それは立場上のことで、互いを縛る鎖はいまだに存在していたという事実。本当の意味で対等になるには、それぞれがその鎖を引きちぎって、一歩を踏み出す必要がある。新潟で新しい生活をはじめた涼子と玉は、互いを必要として支え合ってきたが、人生をともに歩む相手として、深い感情でつながっていることが伝わってきた。

 涼子と玉の関係は広義のシスターフッドとしてとらえることができる。玉が口にした「bosom friend(腹心の友)」は『赤毛のアン』に登場する言葉で、『花子とアン』(NHK総合)では主人公・花子(吉高由里子)と蓮子(仲間由紀恵)の関係性を指していた。『虎に翼』で、生まれ育った環境や身分から解放された2人を言い表す言葉として、この上なく高貴な響きをともなっていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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