世界の政治状況を読み解くヒントがある? Netflix『旋風』にハマること間違いなし

『旋風』に政治状況を読み解くヒントがある?

 最近、韓国ドラマでは、最悪な状況を救ってくれるヒーローが、さまざまな形で登場する。それは特殊な力をもつ超能力者のこともあれば、法を逸脱して助けるダークヒーローのこともあるが、『旋風』の場合は、悪を根絶しようと危険な賭けに出る破天荒な政治家ドンホだった。韓国社会が、正攻法では戦えない現状を憂い、そうした救世主を待ち望んでいるのだろうか。翻って、日本社会はどうだろうか。

 本作の脚本を担当したのは、韓国では権力3部作と呼ばれる『追跡者 チェイサー』『黄金の帝国』『パンチ~余命6ヶ月の奇跡』を手掛けたパク・ギョンス。『耳打ち~愛の言葉~』以来、7年ぶりの復帰作だが、これまで数々の骨太サスペンスを世に送り出してきた老練な脚本家だけに、最後まで濃密だ。政治ドラマに慣れていない視聴者も、緊張感あふれる緻密な展開に思わず飲み込まれてしまうだろう。また、『聖書』や『三国志』になぞらえたエピソードや、政治とは何ぞやと考えさせる名台詞も多く、政治ドラマ好きなら思わずメモをとってしまいたくなるはず。

 軍事独裁政権時代の影響や北朝鮮との関係が随所に描かれ、韓国の政治背景が垣間見られるのも、本作の興味深いところだ。韓国は1960年代から1980年代まで約25年間、軍事独裁政権が続いたが、劇中でドンホの宿敵となる副首相のスジンはその中で闘っていた元民主化運動家という設定である。また、保守派の政治家が北朝鮮と関係があり、それを利用するという描写もある。

 観れば観るほどハマる奥深い政治ドラマ『旋風』。どこの国も、政治の裏側は複雑である。世界の激動の政治状況を読み解くヒントが、ここにあるかもしれない。

■配信情報
『旋風』
Netflixにて配信中
出演:ソル・ギョング、キム・ヒエ、キム・ミスク
原作・制作:キム・ヨンワン、パク・ギョンス

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