『マル秘の密子さん』美術の素晴らしさ 福原遥が着ていた衣装・foufou愛用ライターが解説

『マル秘の密子さん』美術と衣装を解説

 さらに、密子の手によって変身を遂げた夏がつけるGossamerのショートダイヤモンドリングも印象的だ。蜘蛛の巣に水滴が輝く様子をモチーフにしたこのジュエリーは、「狐の手」こと「アンカリング」の際にも画面に映りこむように、夏の内面の変化を象徴するアイテムとして効果的に使用されている。

 これらのアイテム以外にもさまざまな有名ブランドの衣装が登場するため、一概にはまとめられないものの、こうして並べてみると自然をモチーフにしたデザインがなんとも印象に残る。この先も、密子や九条家の登場人物の華やかな衣装を拝めると思うとそれだけで胸が躍る。

『マル秘の密子さん』

 現代を舞台としながらも、どこか異世界のような雰囲気を醸し出す建物や撮影場所もまた、本作の独特な世界観を形作る重要な要素だ。

 第1話で印象的に映し出されるピンク色がかった洋風の建物は、千葉県のアンデルセン公園。童話の世界から抜け出してきたかのようなこの建物は、本作の持つファンタジー性を視覚的に表現している。また、物語の中心となる九条家の洋館の外観には、昭和初期の代表的華族邸宅である和敬塾本館が使用されている。回を重ねるにつれて、どんな建築が物語に登場するのかにも注目したい。

『マル秘の密子さん』

 密子の本質は、まだ私たちには見えない。彼女は依頼者たちの救世主のようでいて、時に冷酷な策略家のようにも見える。だが、彼女が紡ぎ出す世界は、それが極彩色の楽園であれ、冷徹な現実が支配する修羅場であれ、驚くほどに美しいのである。「綺麗な薔薇には棘がある」とはよくいうが、最後に薔薇の棘が刺すのはターゲットの復讐相手か、それとも密子自身なのか。それもまた物語の醍醐味となるだろう。

■放送情報
『マル秘の密子さん』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:福原遥、松雪泰子、上杉柊平、清水尋也、志田彩良、吉柳咲良
脚本:丑尾健太郞、藤岡明子、上野詩織、ばばたくみ
演出:中茎強、小室直子、伊藤彰記、苗代祐史
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子
音楽:Ken Arai
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/maruhi-mitsuko
公式X(旧Twitter):https://x.com/maruhi_mitsuko
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@maruhi_mitsuko
公式Instagram:https://www.instagram.com/motomiyamitsuko

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