『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』S2E3、エマ・ダーシー×オリヴィア・クック圧巻の演技ラリー
そんなデイモンに「お前はここで死ぬ」と不吉な言葉を投げかける謎の女は、ストロング家の落し子アリス・リヴァーズなる人物。原作小説『炎と血』では魔女とも目されており、今後『ゲーム・オブ・スローンズ』にも登場した紅の司祭のような立場を担うかもしれない。演じるゲイル・ランキンは『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』『ペリー・メイスン』や主演を務めたブロードウェイミュージカル『キャバレー』など、近年躍進著しい演技派である。
レイニラの理性と慈悲は男たちが始めた戦争を止められるのか? シーズン2第3話は脚本に『ザ・クラウン』にも参加したデヴィッド・ハンコックを迎え、原作にはないテレビシリーズオリジナルの展開がシリーズを息づかせ始める。レイニラはアリセントもまた同じ想いであると信じ、直接会談すべくセプタに変装して王都へ潜入。前シーズンでは中盤から登板したエマ・ダーシーとオリヴィア・クックは完全に役柄を手にしており、ダーシーには主演俳優としての華が備わりつつある。今シーズンではおそらく最初で最後の直接共演となるダーシーとクックの演技ラリーは、第3話の静かなハイライトだ。レイニラは末期の父の言葉をアリセントが読み違えたことに気づく。遠い未来、ホワイトウォーカーの襲来に約束された王子が立ち向かうという、エイゴン1世の予言“氷と炎の歌”が『ゲーム・オブ・スローンズ』の物語を指すことは私たちも知るところ。アリセントは"約束された王子”が征服王と同じ名を冠す我が子エイゴン2世(トム・グリン=カーニー)と思い込んでいるのだ。レイニラとアリセントの重大な対立軸を早々に解消しようとする展開に、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』が血で血を洗う内戦よりも、互いに戦争を止めようとする女性たちの理性に重きを置こうとしていることがわかる。アリセントは自身の過ちに気づきながらも、取り返しがつかないと立ち去ってしまうのだった。
次回、第4話のエピソードタイトルはずばり「A Dance of Dragons=双竜の舞踏」。いよいよシーズン2前半の山場である。今夏最大スペクタルをぜひとも見逃さないでもらいたい。
■配信情報
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン シーズン2』
U-NEXTにて配信中(毎週月曜1話ずつ配信)
出演:エマ・ダーシー(CV:早見沙織)、オリヴィア・クック(CV:坂本真綾)、マット・スミス(CV:津田健次郎)、トム・グリン=カーニー(CV/武内駿輔)、スティーヴ・トゥーサント(CV:大塚明夫)、イヴ・ベスト(CV:井上喜久子)、ユアン・ミッチェル(CV:新祐樹)、ファビアン・フランケル(CV:諏訪部順一)、ソノヤ・ミズノ(CV:種市桃子)、リス・エヴァンス(CV:大塚芳忠)、ハリー・コレット(CV:大塚剛央)、ベサニー・アントニア(CV:櫻庭有紗)、フィービー・キャンベル(CV:のぐちゆり)、フィア・サバン(CV:内田真礼)、ジェファーソン・ホール(CV:遠藤大智)、(CV:武藤正史)
共同企画・製作総指揮:ジョージ・R・R・マーティン
共同企画・ショーランナー・製作総指揮:ライアン・コンダル
製作総指揮:サラ・ヘス、 アラン・テイラー、 メリッサ・バーンスタイン、 ケヴィン・デラノイ、ロニー・ペリステア、ヴィンス・ジェラルディス
原作:ジョージ・R・R・マーティン『炎と血』
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