『虎に翼』花岡に“特別な感情”を抱いていた轟 “男らしさ”にこだわっていた意味を想う

『虎に翼』花岡に特別な感情を抱いていた轟

 だけど、それはこちらの勝手な想像だ。よねが言う通り、恋なのか、友情なのか、白黒つける必要はない。というより、きっと「よく分からない」という本人の言葉が答えであって、その感情をラベリングする権利なんて誰にもない。ただ、轟は花岡という一人の人間を大切に思っていたこと。それだけが事実だ。

 太平洋戦争により多くの尊い命が失われ、花岡もまたその犠牲者となった。日本国憲法第14条を前にしたよねの「これは自分たちの手で手に入れたかったものだ。戦争なんかのおかげじゃなく」という言葉が胸に迫る。この台詞に、戦争を一切肯定しない制作側の意図が見て取れた。

 よねは轟とタッグを組み、法律で人々を救う道を探る。彼らとすれ違う形で公園に現れた寅子はあのベンチで、泣きながらお弁当を食べた。思いっきり泣いて、思いっきり食べて。遺された者たちはそうやって生きていく。「それでいい」と笑う花岡の顔が見えた気がした。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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