『アンメット』不器用な二人の純愛を岡山天音と生田絵梨花が好演 医療の課題投げかける
婚約が仕組まれたものと知った麻衣は、綾野に別れを切り出すのだが、皮肉なことに、その時すでに麻衣の心は綾野のもとにあり、綾野もミヤビに指摘されて自身の本心に気づいた。引き裂かれる運命にある二人をつないだのは、リハビリ中の勲だった。第8話は珠玉のラブストーリーだった。表情の奥の隠れた感情をのぞかせる岡山天音と、いつになく伏し目がちで、湧き上がる想いを所作に行き渡らせた生田絵梨花が、2024年ドラマのベストカップルをかっさらった感がある。
ただし、そこで終わらないのが今作たるゆえんだろう。綾野と麻衣の変化は、ミヤビの中に眠る記憶と感情のトリガーとなった。展開上も、不明な点が残るミヤビの記憶障害と西島グループの経営拡大の関係に示唆を投げかける。その鍵を握っているのは、ミヤビの主治医で関東医大教授の大迫(井浦新)だ。大迫は綾野たちの仲人を務める予定だったが、計画に狂いが生じた。ラストでミヤビが自身の記憶障害の原因を尋ねる場面があったが、大迫がひた隠しにする事実に本作の核心的な謎があると想像がつく。
社会的行動障害を持つ勲を演じた飯田基祐。医師の役で自身の症状を認識する一方で、コントロール不能な感情に翻弄される心と体のミスマッチを全身で表現した。感情の出力がリミットを超えてしまうことのためらいや苦しみ、社会性をまとまわないむき出しの自我を表出しながらも、息子を思う父の理屈を超えた愛情を感じて目頭が熱くなった。
■放送情報
『アンメット ある脳外科医の日記』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:杉咲花、若葉竜也、岡山天音、生田絵梨花、山谷花純 尾崎匠海(INI)、中村里帆、安井順平、野呂佳代、千葉雄大、小市慢太郎、酒向芳、吉瀬美智子、井浦新
原作:子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)『アンメット-ある脳外科医の日記-』(講談社『モーニング』連載)
脚本:篠﨑絵里子
音楽:fox capture plan
主題歌:あいみょん「会いに行くのに」(unBORDE/Warner Music Japan)
オープニング曲:上野大樹「縫い目」(cutting edge)
演出:Yuki Saito、本橋圭太
プロデューサー:米田孝、本郷達也
制作協力:MMJ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/unmet/
公式X(旧Twitter):@unmet_ktv