『Destiny』最終章の“残された謎”を考察 放火事件&20年前の汚職事件を巡る真相は?
そしてもう1人の放火犯の候補が、奏の婚約者で横浜みなと総合病院の医師・貴志(安藤政信)だ。前回、奏と真樹の度重なる密会についに堪忍袋の尾が切れ、「しばらく家を出ます。別れよう」と置き手紙を残した。今のところ婚約者が元彼と密会するのを黙認している善人でしかないが、ひねくれた見方をすると、奏との出会いは、真樹が失踪し、ロースクールの受験にも落ちて弱っているところに忍び寄ったとも言える。しかも偶然に違う場所で3回も。もしこれが運命ではなく、病院関係で死んだカオリと知り合いだったり、実はカオリと兄妹など因縁の関係で、計画的な接触ならどうだろう。真樹と奏の関係を疑った貴志に、奏は20年前の真実が語られたボイスレコーダーを託し、彼も音声を聞いているはずで、浩一郎への復讐を企てていたり、貴志が20年前の人間ドックの記録の改竄に関与していたら、証拠隠滅に動くはず。その貴志の犯行を真樹が目撃していたら、奏の未来を思い黙秘するだろう。ただ、貴志が恋敵の真樹を放火犯に仕立て上げたという線もありえる。渡辺刑事(板尾創路)もどうも貴志をマークしているようだ。
20年前の事件の真相に関しては、政治的な圧力に検察が屈したと考えられる。ただそれが、単に英介に全ての責任をなすりつけたものか、それとも初めから英介を陥れるための計画だったのかはわからない。もし後者なら、正義感の強い検事だったがために、政治家たちにとって目障りな存在で、検察もグルになってハメられたのではないか。それが真実なら大スキャンダルだ。
ただ一番の謎は、浩一郎が同僚の英介をなぜあそこまで追い込んだのか。その前に弁護士に職業を変えた理由は何か。エリート一家の浩一郎が、ライバルの英介が東京地検で活躍していることに逆恨みしたのか、それとも検察時代に英介のように上司たちから責任をなすりつけられ、家族の命が危険にさられるほどの出来事があり、検察に復讐するために弁護士となったのか。たまたま相手が英介で、自殺は想定外だったのかもしれない。弁護士としての名声を高めるために財界人たちと悪魔の契約を結んだ可能性や、奏&真樹&貴志のような三角関係が当時あって英介を恨んでいた可能性など、色々と考えられる。
議員秘書は、実は20年前の事件の真相を追っている側の人間で、検察内部の悪を追求するために浩一郎と手を組んでいる逆転の展開となったら面白いが、そこまで気を衒った展開にはならず、淡々と真実が明かされていくのではないだろうか。それよりも奏の三角関係がどんな結末を迎えるのか。貴志が普通にいい人で終わってほしいが、果たして。
■放送情報
『Destiny』
テレビ朝日系にて、 毎週火曜21:00~21:54放送
出演:石原さとみ、亀梨和也、宮澤エマ、矢本悠馬、田中みな実、安藤政信、仲村トオル、佐々木蔵之介、高畑淳子、曽田陵介
脚本:吉田紀子
監督:新城毅彦、星野和成、中村圭良
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、森田美桜(AOI Pro.)、大古場栄一(AOI Pro.)
音楽:得田真裕
主題歌:椎名林檎「人間として」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
制作協力:AOI Pro.
制作著作:テレビ朝日
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