『ジュラシック・ワールド』は紛れもない“金ロー映画”だ! 恐竜の大暴れも見逃せない

 1990年代。ある企業が最先端技術を使って恐竜を復活させ、テーマパークを作る「ジュラシック・パーク」計画をブチ上げた。開園寸前まで漕ぎつけたが、セキュリティ系のシステム管理を実質ワンオペでやらせるブラック気質が仇となる。ワンオペエンジニアが復讐の転職活動に走った結果、恐竜が人を殺しまくって開園は幻に終わった。しかし、人間とは諦めないもの。22年の時を経てパークは「ジュラシック・ワールド」として、普通に世界中から人が集まる一大観光地になっていた。今度こそ事故は起きないと思われたが……どっこい、人間は懲りないもの。今度は「もっと客が呼べるヤバい恐竜を作ろうぜ」と、遺伝子操作で超凶暴な人造恐竜インドミナス・レックスを作り、再び大惨事が……。

 来たる5月17日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で『ジュラシック・ワールド』(2015年)が放送される。1990年代に大ヒット&大絶賛され、世界中の子どもたちを恐竜大好きっ子に導いた『ジュラシック・パーク』シリーズ第4弾だ。本作は『ジュラシック・パーク』が公開された1993年に胸躍らせたファンたちはもちろん、1作目を観ていなくても楽しめる傑作に仕上がっている。何よりこれほど「金曜ロードショー的なハリウッド映画」は珍しい。

 この国の30~40代くらいの人たちには、「金曜ロードショー的なハリウッド映画」という概念が存在する。もはや一つのジャンルだと言ってもいい(以下「金ロー映画」とする)。まだ配信サイトがなかった頃、テレビは映画と出会う貴重な窓口の一つだった。金ロー映画が映画の原体験だったという人も多いだろう。これは私の個人的なものだが、どういう条件が揃えば、「あ、これ金ロー映画だ!」と人が認知するかと言うと……。

・金がかかっている
・子ども目線での冒険が描かれる
・大人のロマンスがある
・小粋なジョークが連発する
・ほどよく残酷かつ面白く人が死ぬ
・ハッピーエンド

 上記条件の半分以上を満たすと、だいたい金ロー映画になる。そして本作『ジュラシック・ワールド』は、これらの条件を全て満たしている、紛れもない金ロー映画だ。

 この映画には主人公が4人いる。まずはパークを冒険する兄と弟だ。2人の両親は離婚目前。兄は高校生らしく思春期まっただ中で、弟は両親が別れることに気が付いて凹んでいる。真面目な兄は弟を励まそうと明るく振る舞うが……そんな2人をインドミナス・レックスが襲うのであった。この2人の大冒険はワクワクするもので、特に中盤の大ジャンプは爽快ですらある。後半になるにつれて命の余裕が出てくると、今度は2人そろってコメディリリーフとしても抜群の輝きを見せる。

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