奥智哉、青木崇高、望月歩、長濱ねる 『十角館の殺人』実写化を成立させたキャスト陣の実力

『十角館の殺人』キャスト陣の魅力に迫る

 そんな奥を支えたのが、ベテランの青木崇高だ。彼が演じた島田潔は、毎日ヒマを持て余しているお寺の三男坊。ふとしたことがきっかけとなり、江南とともに“死者からの手紙”の真相を突き止めていくことになる。

 主演の奥をはじめ、ミステリ研究会のメンバーなど、主要キャストに若手が多いなか、青木の存在が作品に重厚感をもたらしたのは間違いないだろう。島田というキャラクターは、大人ならではのどしっとした雰囲気と、大学生ともノリを合わせられる軽妙さが求められるのだが、さすがは青木だ。クスッと笑わせながらも、ふとしたときに何を考えているのか分からない奥行きのある演技を見せていた。

 そして、十角館に訪れることになるミステリ研究会のメンバーにも注目したい。ワークショップ兼オーディションで選ばれたメンバーを含む、気鋭の若手俳優たち。とくに印象的だったのが、望月歩と長濱ねる。

 本作を観た人は、確実に望月の台詞回しに圧倒されるはずだ。彼が演じたキャラクターは饒舌で、説明台詞も多い。それなのに、飽きるどころか、「ずっと聞いていられる……」と思えたのは、望月の華麗な台詞回しがあったからこそ。そして、おしとやかなキャラクターを演じることが多かった長濱は、気の強い女王様キャラに扮している。トゲのある言い回しなど、今まで見せたことがないような一面を表現しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 そのほか、MVPを捧げたい人物がいるのだが……。本作を観た方は、それが誰なのか気づいてくれるはず。ぜひ、“あの一行”の衝撃を、実際にたしかめていただきたい。

■配信情報
Huluオリジナル『十角館の殺人』
Huluにて独占配信中
出演:奥智哉、青木崇高、望月歩、長濱ねる、今井悠貴、鈴木康介、小林大斗、米倉れいあ、瑠己也、菊池和澄、濱田マリ、池田鉄洋、前川泰之、河井青葉、草刈民代、角田晃広、仲村トオル
原作:綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)
監督:内片輝
脚本:八津弘幸、早野円、藤井香織
音楽:富貴晴美
テーマ曲:「低血ボルト」ずっと真夜中でいいのに。(EMI Records / UNIVERSAL MUSIC)
プロデューサー:内片輝、内丸摂子、木下俊、中村圭吾、渋谷昌彦
チーフプロデューサー:石尾純、勝江正隆
エグゼクティブプロデューサー:川邊昭宏、長澤一史
制作:下村忠文
制作協力:内片輝事務所、東阪企画、いまじん
製作著作:日本テレビ
©綾辻行人/講談社 ©NTV
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/jukkakukannosatsujin/
公式X(旧Twitter):@jukkakukan

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