『アンチヒーロー』長谷川博己が心理戦で検察と攻防 真実が闇に葬られた雨の夜

『アンチヒーロー』真実が闇に葬られた雨の夜

 明墨は赤峰に「裁判というものの勝ち方を見せてあげよう」と言う。第1話で羽木の会社の従業員である尾形(一ノ瀬ワタル)の目撃供述の信用性を覆し、第2話で違法な鑑定が行われたことを明らかにしたことで、裁判員の心証は被告人の無罪に傾いたと思われる。結果的に緋山は無罪となったが、真実はどうだったのだろう。本当に緋山は羽木を殺していないのかという問いに対する答えは、第2話の最終盤で示された。

 覚えているだろうか。犯行当日、緋山は羽木の自宅に入っていく時にジャンパーを着ていたが、出ていく時には着ていなかった。見つかっていないジャンパーは存在していた。ごみ処理場で緋山が手にしていたジャンパーは返り血をべったりと浴びていた。「服に付いた血は洗剤で3回洗っても反応する」という白木(大島優子)の言葉が本当なら、仮にジャンパーが検察から提出され、付着した血液が羽木のものであると証明されれば、防犯カメラの映像と相まって緋山が犯人であることの決定的な証拠となる。

 明墨は殺人者を無罪にしたことになる。このことを知った赤峰は、良心の呵責に苦しむ。紫ノ宮(堀田真由)も第1話で明墨が羽木の息子・湊(北尾いくと)の見間違いを承知した上で、事実に反する証言をさせたことに気づいており、明墨に対して疑念が生じている。明墨はジャンパーのありかを知っていて黙っていたのではないか。「君が君の正義を貫くように、私は私の道を突き進む」と明墨は赤峰に言うのだが、社会正義を実現する弁護士が劇中で真実をないがしろにしている事実を、私たちはどう受け止めるべきだろうか?

■放送情報
日曜劇場『アンチヒーロー』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/
公式X(旧Twitter):@antihero_tbs
公式Instagram:@antihero_tbs
公式TikTok:@antihero_tbs

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