『怪獣8号』実写的演出となった“アニオリ描写” 制作陣の気概を感じられる出来栄えに

『怪獣8号』“アニオリ描写”の実写的演出

 そんな怪獣を討伐しているのが日本防衛隊と呼ばれる精鋭部隊。現実世界に即すのであれば自衛隊が近いだろうか。主人公のカフカはそんな日本防衛隊に夢見ながらも、試験で不合格となり夢破れてしまい、怪獣専門清掃業で働いていた。怪獣を見事討伐した日本防衛隊は人々から称賛され、怪獣の死骸を清掃するカフカたちは日の光を#怪獣8号 #KaijuNo8 浴びることはない。カフカのナレーションからは自分の仕事に誇りを感じているようにも思えるが、幼なじみであり日本防衛隊第3部隊長として活躍している亜白ミナには負い目を感じていた。「なんでこっち側にいるんだろ俺……」と頭を抱えるカフカは、まだ日本防衛隊への夢を諦めきれずにいた。

 
 翌日、怪獣専門清掃業者にやってきたのが市川レノだ。防衛隊志望で、試験対策の一環として怪獣専門清掃業者でバイトを始めたレノは、カフカに対して「なんで諦めちゃったんすか?」と核心的な疑問を投げかける。最初はピリついた雰囲気が漂っていた2人だったが、誰もがやりたがらない腸の清掃作業を通して、仲を深めていく。腸の清掃で匂いに敏感になってしまったレノに、カフカが鼻栓を無理やり装着しようとするシーンが微笑ましい。

 
 だが、そんな日常のひとときも余獣の存在で一気に地獄へと変わる。余獣がレノを食べようとしたところを、カフカが間一髪で救出。カフカはレノを逃がし、一人で余獣と退治するが当然敵わない。そこで、カフカはミナと一緒に日本防衛隊を夢見た過去を思い出し、これまでの選択を後悔する。レノの助太刀もむなしく、日本防衛隊によって救出された2人。だが、カフカにとってレノとの出会いは大きな転機となった。

 
 レノの言葉をきっかけに日本防衛隊を目指すことに決めたカフカだったが、病床で休んでいたところに小さな怪獣が口の中に侵入し、怪獣に変身する能力が身についてしまう。なぜ怪獣はカフカに寄生したのか、そしてなぜ怪獣に変身する能力を得たのかといった事実はこれから明かされていくことだろうが、第1話のオチとしては完璧だったと評価できる。

■放送情報
『怪獣8号』
テレ東系:毎週土曜23:00~放送
BSテレ東:毎週土曜24:00~放送
AT-X:毎週日曜22:00~放送
アニマックス:4月27日(土)スタート 毎週土曜21:00~放送
キャスト:福西勝也(日比野カフカ/怪獣8号役)、瀬戸麻沙美(亜白ミナ役)、加藤渉(市川レノ役)、ファイルーズあい(四ノ宮キコル役)、河西健吾(保科宗四郎役)、新祐樹(古橋伊春役)、河本啓佑(出雲ハルイチ役)、武内駿輔(神楽木葵役)、千本木彩花(小此木このみ役)
原作:松本直也(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:宮繁之、神谷友美
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン・総作画監督:西尾鉄也
怪獣デザイン:前田真宏
美術監督:木村真二
色彩設計:広瀬いづみ
3D監督:松本勝
撮影監督:荒井栄児
編集:肥田文
音響監督:郷文裕貴
音楽:坂東祐大
オープニングテーマ:YUNGBLUD「Abyss」
エンディングテーマ:OneRepublic「Nobody」
怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラー
アニメーション制作:Production I.G
©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
公式サイト:https://kaiju-no8.net
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/KaijuNo8_O

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる