『厨房のありす』2つの事件の真相が明らかに ありすと倖生を包む優しさに見えた“希望”

『厨房のありす』2つの事件の真相が明らかに

 心護はずっと倖生に早く真実を伝えなければと思っていたが、ありすのことを思うとどうしてもためらって伝えられずにいた。実の父親が母親を殺したという事実を知って、ありすが傷つくのが怖かったのだ。未知子の死後、施設に預けられそうだったありす。自閉スペクトラム症というハンデを抱えた彼女に、セクシュアルマイノリティであるがゆえに偏見や差別も受けてきたであろう心護は自分を重ねた。ありのままの自分でも、ありすとなら痛みを半分こしながら寄り添って生きていけるんじゃないか。そんな思いからありすを引き取った心護。血の繋がりはない。けれど、ただの物質でしかないぬいぐるみのヘンリーがいつしかありすの心の支えになっていたように、心護が悩み苦しみながらもありすに愛情を注いできた25年間が2人を家族にしてくれた。

 自分が本当の父親だと今さらすり寄ってくる誠士に「お父さんは八重森心護さんだけです!」と毅然とした態度できっぱり告げるありす。誠士は最後まで反省の意を示すことはなかったが、ようやくありすと倖生は知りたかったことを知ることができた。だが、実の父親が倖生の父親を死に追いやったという事実がありすを苦しめる。倖生と自分は仇同士であり、もう一緒にいられない、そう思っていた。

厨房のありす

 けれど、食べ合わせの悪い牡蠣とキクラゲにレモンが、きゅうりとトマトにマヨネーズが加わることで一緒になれるように、ありすと倖生を和紗(前田敦子)が繋げてくれる。和紗から連絡を受け、ありすに自分の思いを伝える倖生。

「ありすがヘンリーとか心護さんと築いてきたような関係を、俺もこれからありすと築いていきたい」
「俺たちの間にどんな壁があっても、その気持ちがあれば乗り越えられる」

厨房のありす

 まるでそれは“プロポーズ”だった。きっと、これからもありすと倖生は「ありすのお勝手」でみんなを幸せにする料理を提供していくのだろう。誰かと一緒に生きていくのは大変で、努力がいる。ありすと倖生も価値観の違いでぶつかったり、思わぬ形で互いを傷つけてしまったりもするだろう。けれど、そんな時はきっと心護や和紗が2人を繋げてくれる。ありすと倖生を包む優しさが、フィクションで終わらず、現実世界にも多くの人に降り注ぎますように。

■配信情報
『厨房のありす』
TVer、Huluにて配信中
出演:門脇麦、永瀬廉、前田敦子、大東俊介、北大路欣也(特別出演)、皆川猿時、萩原聖人、木村多江、大森南朋
脚本:玉田真也
音楽:横山克
演出:佐久間紀佳、鈴木勇馬
プロデューサー:鈴間広枝、諸田景子、松山雅則
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/alice/
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