『となりのナースエイド』で未解決な“もう一つのテーマ” 最終回で描かれる主題を考える

『となりのナースエイド』最終回を考察

明らかになった真実の全容

 澪は、性格には難があるが医師として尊敬していた大河が金のためにこんなことをすることに落ち込んだが、実はその金は大河が中学生の頃にお世話になった児童養護施設「羽ばたき園」に寄付されていたのだ。また、技術を大事にするきっかけとなったのが、手術で治るはずの病気で自分の母親が命を落としたからということも明かされた。クールに見える大河は人一倍、誰かのことを想い、動くことのできる人間だったのである。

『となりのナースエイド』最終話

 澪の実力を見込んで、「ショックで医療行為ができない間はナースエイドとして働いてほしい」と声をかけたのは星嶺医科大学附属病院統合外科の教授・火神(古田新太)だ。火神はがん細胞などを攻撃する作用を持った「火神細胞」を作り出し、名を上げた人物だった。だが、「火神細胞」だけでは腫瘍が塊として増えてしまうシムネスには太刀打ちできない。それを解決するために「オームス」というシステムを開発中で、澪ならそれを動かせるのではないかと考えていたのだ。

 患者を救うために尽力している医者の鑑のような火神。しかし実は「火神細胞」を最初に作り出していたのは澪の父・晃(和田聰宏)だった。つまり火神は晃の死後、さも自分がその細胞を開発したかのように世間に発表し、特許も取得して富と名声を手に入れていたのだ。そして、澪の姉の唯は、そのことを知り、シムネスに侵された身体を引きずりながら、火神に「真実が知りたい」と迫っていた。

「残された者はどうするべきか」という主題

『となりのナースエイド』最終話

 全てが明らかになったいま、最終回は何を描くのか。それは、「残された者はどうするべきか」がもう一つの主題として深く関わってくることが推測できる。

 大河は、「病気だった母に残された者」として、自分のような思いをする人が少しでも少なくなるように、命をたくさん救えるようにと医者を志した。澪は、唯のことを調べる過程で、自分に対する唯の本当の思いを知り、これから何をするべきか、どうしていくべきか今も思い悩んでいる。そして2人は偶然にも火神から「『オームス』を託され残された者」となってしまった。最終回のタイトルは「それぞれの決断」。ここでも裏の裏が描かれるどんでん返しがあるのかも含めて、澪や大河の決断を見つめていたい。

■放送情報
水曜ドラマ『となりのナースエイド』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:川栄李奈、高杉真宙、水野美紀、矢本悠馬、吉住、古田新太、小手伸也、織田梨沙
脚本:オークラ
音楽:井筒昭雄
演出:内田秀実、今和紀(泉放送制作)
チーフプロデューサー:松本京子
プロデュ―サー:藤森真実、藤村直人、森雅弘、白石香織(AX-ON)、島﨑敏樹(泉放送制作)
制作協力:AX-ON、泉放送制作
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tonarino-nurseaid/
公式X(旧Twitter):@tonari_ntv
公式Instagram:@tonari_ntv

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