岡田将生の“悪い顔”はやっぱり最高! 次世代スター集結『ゴールド・ボーイ』の破壊力

岡田将生の“悪い顔”『ゴールド・ボーイ』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ブルー・ボーイ石井が『ゴールド・ボーイ』をプッシュします。

『ゴールド・ボーイ』

 リアルサウンド映画部でもたびたび掲載してきた岡田将生さんについてのコラム。一連の記事を振り返ってみると、「情けない」「嫌なヤツ」「ダブスタ」「クズキャラ」など、なかなかのパワーワードがズラリと並んでいます。もちろん、岡田さん自身が、ということではなく、演じてきたキャラクターのこと。世界にも注目された端正な顔立ちで、たくさんの良心的なキャラクターも演じてきていますが、個人的には“悪い顔”を見せるときに最高に輝く俳優だと感じています。

 そんな岡田さんの“悪い顔”を最初から最後までたっぷりと堪能できるのが『ゴールド・ボーイ』です。岡田さんが本作で演じるのは、狂気的な殺人犯・東昇。これはあらすじにも書かれているのでネタバレではないと思っていただきたいのですが、映画冒頭から東は殺人を犯します。しかも笑いながら。この時点で本作は間違いないと確信しましたが、まさに最初から最後まで岡田スーパーモードを堪能できるのです。

 東昇は沖縄・那覇の有数企業・東ホールディングスの会長の娘に婿入りした人物。しかし、妻・静(松井玲奈)とは良好な関係ではなく、離婚を迫られている状況であり、一族の中でも所詮余所者の扱われ方。はたから見れば裕福にみえても、彼自身は何も持っていない。じゃあ、自分のものにしてしまおうーーということで彼は義父母を殺してしまうというわけです。

 どっからどう見ても優しい人、笑顔も爽やかで素敵……と思っていたら悪魔のような顔になる豹変ぶり。本当の岡田将生はいったいどちらなのでしょうか。『天然コケッコー』の純朴な青年もはるか昔。人間の表情をこれだけ変化させることができる俳優・岡田将生に圧倒されるばかりです。

 そんな狂気的な殺人犯のピカレスクロマンなのかと思いきや、本作がすごいのはそこにジュブナイル要素をばっちりと組み込むところにあります。ポスタービジュアルにもなっているとおり、岡田さんのみが主役ではなく、東昇と相対する羽村仁成さん演じる安室朝陽がもう一人の主役なのです。

 朝陽とその友人・浩(前出燿志)と浩の妹・夏月(星乃あんな)は、たまたま海で写真を撮っていたら、東の犯行現場がそこに写っていたことに気づきます。そして、彼らはあろうことか中学生でありながら、東を強請っていく。そして物語が大きく展開していきます。

 『1999年の夏休み』、平成『ガメラ』シリーズの金子修介監督だからこその少年・少女描写で、沖縄の夏模様と相まって、彼らがつるんでいる姿を観るだけで涙腺がやられます。しかし、そんな爽やかな気持ちのままで本作は終わらせてくれません。なぜなら“殺人鬼”の話だからです。

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