『光る君へ』吉高由里子の眼の芝居が凄まじい “決別”を予感させる一羽の鳥にも注目

『光る君へ』吉高由里子の眼の芝居が凄まじい

 道兼は自分が殺めた女がまひろの母であることを知らない。まひろの脳裏には、母が殺される瞬間と母を殺めた道兼の顔がありありと浮かんでいるというのに。道兼と対峙するまひろの目に潤む涙には、亡き母を思う悲しみばかりでなく、憎き道兼へのやり場のない怒りをも感じられる。だが、まひろは「はい」とだけ答えた。

 まひろが道兼への憎しみを押し殺すことができたのは、「俺はまひろの言うことを信じる」という道長の言葉があってこそだった。道兼が帰った後、為時は「よく辛抱してくれた」とまひろに頭を下げた。まひろは、父なりの優しさと労いを受け取りながらもこう返した。

「……私は道兼を許すことはありません。されど、あの男に、自分の気持ちを振り回されるのは、もう嫌なのです」

 まひろの心の強さを感じ入った為時は小さくうなづいた。

 この時、まひろと為時の後ろに、一羽の鳥が舞い降りた。第1回で鳥かごから逃げていった鳥だろうか。かつてまひろが鳥を鳥かごから逃がそうとした時、ちやはは、一度籠の中で飼われた鳥は、外の世界では生きられない、最後まで守ってあげるようにと伝えていた。もし同じ鳥なら、誰にも守られずに外の世界を生き抜いたことになる。第1回で道長との出会いをもたらしたこの鳥が、再び外の世界へと飛び去ったことは何を暗示しているのか。道兼の存在に心をかき乱されてきたこれまでのまひろを表すものかもしれない。もう一方で、決別の予感も覚えさせる。

 物語の終わり、東三条殿に盗賊が入った。武者に取り押さえられた盗賊の中に直秀(毎熊克哉)がいた。取り押さえられながらも、直秀は鋭い目で道長を睨みつける。道長は自身が大内裏で矢を射た盗賊が直秀だと確信すると、その事実に心を痛め、顔を歪めた。貴族と盗賊というお互いの立場をはっきりと認め合うことになった幕引きに心が苦しくなる。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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