笠置シヅ子が映画で重宝された理由とは? 『ブギウギ』を観てこそわかる贅沢な“演技”

『ブギウギ』笠置シヅ子は映画で重宝された

 服部を笠置の音楽の師匠とするなら、演技の師匠はエノケンこと榎本健一であった。エノケンは、『ブギウギ』のタナケンのモデルと思われる人物である。エノケンは笠置に「君は歌手で役者ではないから、芝居のツボは外れている」「しかし、それが面白い効果を出している」と言ったというエピソードが残っている。おそらく、これが喜劇映画や歌謡映画に笠置が引っ張りだこだった理由だろう。エノケンからの演技指導で笠置の演技力はみるみる向上し、いつしか「女エノケン」と呼ばれるようにまでなったという(※)。

 『ブギウギ』でも「つまらないものを見せたらそっぽ向かれて、しまいやぞ」とタナケンから厳しいことを言われていたスズ子。このような言葉をしっかりと受け止め、全力を出せる、まっすぐさがスズ子のいいところだ。最近は鮫島(みのすけ)が彼女の周りを嗅ぎ回っていて不穏だし、誤解をそのままにしておけないスズ子の性格がりつ子(菊地凛子)との無用な対立を生みそうでハラハラするが、どうにかこの困難を乗り越えてほしい。

参照

※ 砂古口早苗『ブギの女王・笠置シヅ子-心ズキズキワクワクああしんど-』現代書館、2010年

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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